「つみたてNISA」による資産の増え方や節税効果をシミュレーションした! 毎月1万円でも、投資先によって利益は100万円超、節税額は40万円超の差に! – ダイヤモンド・オンライン

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 「つみたてNISA(積立型の少額投資非課税制度)」では、年40万円×20年間分、投資で得られる利益が非課税になります。では、実際に「つみたてNISA」で積み立て投資を行うと、20年間でどのくらい資産が増え、節税できる金額はいくらになるのでしょうか。また、投資対象や信託報酬によって、その結果にどの程度の違いが出るのでしょうか

 今回は「つみたてNISA」で積み立て投資を行った場合の結果をシミュレーションしてみました。

株式に投資するインデックス型投信で積み立て投資を

行ったら資産はいくらになるのかシミュレーション!

 「つみたてNISA」の対象となっている商品には、株式100%の投資信託・ETFと複数の資産に投資するバランス型の投資信託、そして投資手法の違いからインデックス型とアクティブ型の投資信託があります。今回は、株式100%のインデックス型投資信託で20年間積み立て投資した場合、資産はどうなるかというシミュレーションを行いました。

 シミュレーションをする際に最も重要になるのが、期待リターンをどのくらいに設定するかということです。ここでは、IMF(国際通貨基金)が発表している予測経済成長率(2018年)に、リスクプレミアムとして1%加えた数値としました。

 経済成長率をベースとしたのは、インデックス型投資信託を買うことは、その国の成長を取りにいくことと同じだと考えるからです。もちろん、単年のリターンでは経済成長率を大きく上回る年もありますが(たとえば、2013年の日本株式は年50%近く上昇しました)、逆に大きく落ち込む年もあります。それらをならしていけば、結局は「経済成長率+リスクプレミアム」程度に落ち着くのではないかと思います。

 「リスクプレミアム」についても説明しておきましょう。金融商品では、リスク(価格変動)の大きさに応じて、+αの期待リターンが上乗せされます。言い換えると、リスクが高い金融商品はそれだけリターンも高くないと、投資家は買ってくれないということです。この上乗せ分をリスクプレミアムといいます。株式は債券などと比べると価格変動が大きい、すなわちリスクが高い代わりに、リスクプレミアムも高くなります。

 今回設定している株式のリスクプレミアムが1%というのは、かなり低めの数字だと思う人もいるかもしれません。普通ならリスクプレミアムは1.5~2%でもおかしくないからです。しかし今回は、足元の経済状況が絶好調のところに2%をプラスするのは少し楽観的すぎるのではないかと考え、1%と堅めの数字にしています

 ということで、各資産の期待リターンを、日本株で年2.2%(経済成長率1.2%+リスクプレミアム1%)、先進国株は年3.3%(経済成長率2.3%+リスクプレミアム1%)、世界全体の株では年4.9%(経済成長率3.9%+リスクプレミアム1%)と設定しました。

 そして、それぞれ毎月1万円ずつ、20年間にわたって「つみたてNISA」で積み立て投資を行った場合の資産の増え方を示したのが次のグラフです。「つみたてNISA」は年額40万円、月にすると約3万3000円まで投資が可能なので、毎月1万円超の積み立てを行う場合は、そのぶん結果に掛け算(たとえば月3万3000円なら3.3倍)していただければと思います。

◆投資対象による資産の増え方の違い(月1万円で積み立て投資を行った場合)

毎月1万円×20年間の積立投資で元本240万円が

日本株で301万円、世界株なら403万円に!

 では、シミュレーションの結果を詳しく見ていきましょう。「つみたてNISA」で日本株を毎月1万円積み立てていき複利で運用した場合、20年後の資産(元本+利益)は約301万円になります。さらに、先進国株式では約338万円、世界株式なら約403万円になる計算です。

 いずれも、元本の240万円に比べると大きく増えています。ただし資産による増え方の違いを見ると、日本株と先進国株で約37万円、日本株と世界株であれば102万円もの差がついていることがわかります。仮に月3万3000円積み立てたとすると、日本株と世界株なら約337万円も差がつくわけです。

 日本株は、いまだにバブル時につけた最高値を取り戻していませんが、海外に目を向けると、主要国株の多くが近年史上最高値を更新している状況です。このシミュレーションを見ると、長期での資産形成を考えるのであれば、世界経済の成長に乗ることが重要だと実感できるのではないでしょうか。

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 参考までに、定期預金で運用した場合も見てみましょう。

定期預金で運用した場合の資産の増え方
  元本 定期預金(金利0.01%) 定期預金(金利0.1%)
10年目 120万円 120万438円 120万4785円
20年目 240万円 240万1832円 241万9203円

 金利(年利)0.01%と0.1%で計算していますが、元の240万円に対して、「元本+利息」(税引後)は、金利0.01%の場合で約240万1800円、0.1%の場合でも約241万9200円です。20年間でも、銀行預金ではほとんど増えません。もっとも、生活する上で流動性の高い現預金を準備しておくことや、そのために現金を積み立てること自体には意味があるので、その点は心に留めておいてください。

海外株に投資するなら「為替ヘッジなし」で!

長期で見ればそのほうが資産は増える可能性大

 上で見たとおり、日本株と先進国株や世界株を比べた場合、明らかに期待リターンは海外のほうが高くなります。一方で、海外株には日本株にない、為替変動のリスクもあります。せっかく株価が上がっても、円高になると収益が目減りしてしまうのではないかと不安に思う人もいるでしょう。

「つみたてNISA」の対象となっている海外株投資信託の中には、「為替ヘッジ」をしている商品もあります。為替変動のリスクを抑えるために、こうした「為替ヘッジあり」の投資信託を選択するという考え方もできます。

 しかし、私のおすすめは「為替ヘッジなし」タイプの商品です。その理由は、「為替ヘッジあり」のタイプの投資信託には「ヘッジコスト」がかかるためです。長期的に見ると、為替ヘッジありの投信では、ヘッジコストを差し引いたリターンは日本株の投信と同じくらいに落ち着いてしまいます。つまり、海外株投信で投資するメリットが薄れてしまうのです。

 また、絶対とまでは言い切れませんが、為替の変動率が株価の変動率を上回ることはないと考えられます。過去20年を振り返っても、ドル円のレートは、最も円安となった1998年の1ドル147円から、最も円高となった2011年の75円までで、約2倍の円高になっていますが、その間に世界株の株価指数(MSCI All Country World Index)は約2.8倍(最安値と最高値の比較)にもなっています。つまり長期的には、為替でマイナスになったとしても、株価上昇のプラスが上回る可能性が高いということです。 

 ちなみに、「つみたてNISA」には債券100%の投資信託はありませんが、課税口座などで海外の債券に投資する場合は為替変動に対する注意が必要です。なぜなら、債券は株式ほど価格変動が大きくないため、為替変動が債券のリターンを上回る可能性があるからです。海外債券に投資する場合には、「為替ヘッジあり」も選択肢になると考えます。

税金による差は月1万円投資でも数十万円に!

「つみたてNISA」の「非課税」の威力は大きい

 次に、税金による差を見てみましょう。「つみたてNISA」で積み立て投資する最大のメリットは、投資で得られる利益が全額非課税になることです。株式や投資信託での投資では、通常、利益に20.315%の税金(所得税+住民税+復興特別所得税)がかかります。課税される場合と非課税の場合の差は以下のとおりです。

課税と非課税による資産の増え方の違い(月1万円で積み立て投資を行った場合)
  日本株 先進国株 世界株
課税 非課税 課税 非課税 課税 非課税
10年目 131万1535円 134万1806円 137万1661円 141万9749円 146万4735円 154万2259円
20年目 287万1996円 300万9822円 314万9846円 338万4082円 361万3085円 403万611円

 たとえば、世界株投信を毎月1万円ずつ積み立てると、20年後の資産は「つみたてNISA」で利益が全額非課税なら前述のとおり約403万円となりますが、特定口座で投資するなどの場合で税金が引かれると、約361万円まで目減りしてしまいます。その差は、約42万円です。「つみたてNISA」の「非課税メリット」の大きさがわかるかと思います。もちろん、積立額が増えれば非課税・課税による資産の差も大きくなります。

 なお、上記の表で課税される場合は、1年間の複利計算ごとに20.315%の税金を引き、その上でまた翌年の複利計算を行なっているため、20年間そのまま積み立てた場合とは、金額が若干異なります。

運用コストがもたらす影響も無視できない

信託報酬が高い投信と安い投信で60万円超の差も!

 最後は、信託報酬による違いを見ていきましょう。

 もともと「つみたてNISA」では、信託報酬を低く抑えている投資信託だけを対象としています。たとえば、株式のみに投資するインデックス型投資信託の場合、国内株型なら0.54%(税抜0.5%)以下、海外株型なら0.81%(税抜0.75%)以下でなければ、「つみたてNISA」の対象とはなりません。

 しかし、その中でも相対的に信託報酬が高めのものと、低めのものがあります。ではその違いによって、資産にはどの程度の差が出るのでしょうか。ここでは、先進国株式に投資する(MSCIコクサイ・インデックス連動型)2つの投資信託、信託報酬0.648%の「eMAXIS 先進国株式インデックス」と、信託報酬0.11826%の「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」(信託報酬はいずれも税込)を例に見てみたいと思います。

 なお、インデックス型投資信託の運用成績の差を生むのは信託報酬だけでなく、厳密には運用モデルの違い(トラッキングエラー)なども影響しますが、この2つの投資信託は、どちらも同一のマザーファンドに投資するファミリーファンド方式で運用されています。信託報酬による違いを見るには好都合といえます。

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 先進国株式なので期待リターンは3.3%をベースとして、そこから信託報酬0.648%と0.11826%を差し引いた数字でシミュレーションしてみます。毎月1万円ずつ、20年間積み立てた場合の結果が、下の表です。

 20年後の資産額は、eMAXIS 先進国株式インデックスの約316万円に対して、「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」は約334万円その差は約18万4000円です。また、仮に毎月3万3000円を積み立てた場合には、20年後の差は約61万円になります。 

 この金額を大きな差と見るかどうかは、人によって違うかもしれませんが、もし利用している金融機関に同じ指数に連動する投資信託が複数ある場合には、信託報酬の低いものを選んだほうがいいのは言うまでもありません。特に上の2つの投資信託の例では、運用内容には違いがありませんから、信託報酬が高い「eMAXIS 先進国株式インデックス」を選ぶ意味はまったくありません。 

 参考までに、信託報酬0.216%(税込)の「たわらノーロード先進国株式」でも見てみましょう。20年後の結果は約331万円で、「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」との差は約3万5000円となります。信託報酬の差が0.1ポイント程度であれば、さほど気にする必要はない、という考え方もできると思います。  

 「つみたてNISA」では、一度始めたら、むやみに商品を変えたりせずに淡々と積み立てを続けていくのがおすすめです。だからこそ、始めるときには「どの資産で積み立てればよいのか」「選べる範囲でどの商品のコストが低いのか」などをしっかり検討してほしいと思います。

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(構成:肥後紀子)

深野康彦(ふかの・やすひこ)[ファイナンシャルプランナー]

ファイナンシャルリサーチ代表。AFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士。クレジット会社勤務を3年間経て1989年4月に独立系FP会社に入社。1996年1月に独立し、現職。あらゆるマネー商品に精通し、わかりやすい解説に定評がある。主な著書に『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない』『ジュニアNISA入門』(ダイヤモンド社)など多数。



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