熊本地震から1年半 農業復興 なお遠く 南阿蘇村立野地区 – 日本農業新聞

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地震後に営業を断念したままのイチゴハウスを見つめる村上社長(熊本県南阿蘇村で)

 熊本地震で大きな被害に遭った熊本県南阿蘇村立野地区で、地震から1年半がたった今もなお、農業への復興が見通せない状況が続いている。断水が一部で解消し、新たに道路が開通するなど、生活インフラは徐々に復旧。一方、水稲や園芸など農業はほとんどが再開できていない。復興への道のりは見えないまま、終盤戦に突入した衆院選にも冷めたムードが漂う。
 

業者不足、着工できぬ

 昨年4月16日の本震で阿蘇大橋が落ちるなど、深刻な被害が出た同地区。新たな橋の建設工事に伴い、田畑の一部には山のように土砂が積まれている。

 「インフラは少しずつ復旧したものの、農業での収入はほとんど途絶えたままで、経営再開にはまだまだ時間がかかりそうだ」。被災前に地区の8ヘクタールで水稲やイチゴなどを栽培していた木之内農園の村上進社長は、ため息をつく。

 農地の崩落・陥没や工事のための用地提供で、経営面積の7割は使えなくなった。現在は試験的に栽培する夏イチゴなどをわずかに営むだけ。地震の直接の被害額は億単位に達し、その後の収入も断たれた。蓄えを崩す生活が続く。

 水道や道路は徐々に復旧したが、農業の復興は遅れている。地震後に長く続いた断水は、国土交通省や民間企業が掘削した井戸などが使えるようになり8月以降、一部で解消。地区全体で毎分300リットルを得られるようになったが、「あくまで応急復旧」(村上社長)。農業用水として被災前と同じ面積を潤すことはできない。水道の全面復旧のめどは立っていない。

 同月には、農園のそばに村の中心部に続く新たな道も開通した。通行量が多く、観光客を引き込みたい農園にとっては追い風だ。道沿いに80アールのハウスを新設する計画もある。

 だが、ただでさえ不足していた工事業者は、7月の九州北部豪雨など近隣で災害が相次いだことを受け、一層の不足が懸念される。村上社長は「年度内に建てなければ補助が受けられないが、このままでは間に合わない」と気をもむ。

 

避難解除申請も営農再開に不安

 地区全体の農業も復興とは程遠い。地元住民らが手掛けていた水田は、一本の稲も植えられないまま2年目の秋を迎えた。

 水道や道路の応急復旧を受け、村は31日、地区の357世帯に出していた長期避難世帯指定の解除を県に申請する。「村外などに避難していた住民が、再び地区に戻れるようになる」(村復興推進課)。だが、村上社長は「水道の完全復旧は数年先。長い間作付けできなかった高齢農家が再び営農してくれるだろうか」と不安視する。

 地震の爪痕が残り、復興が見通せない中で浮上した衆院選に、冷めた雰囲気も漂う。「選挙どころではないというのが正直なところ。政局絡みの話ばかりで、復興策も見えてこない」と村上社長。「このままでは未来はない。村や県、国はどう考えているのか。道筋を示してほしい」と語気を強める。(松本大輔)





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