フェルドシュタイン:貿易戦争のゴールを明示せよ – フィナンシャル・ポインター

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民主党・共和党両政権で要職を務めたマーティン・フェルドシュタイン ハーバード大学教授が、米中貿易摩擦について注文をつけている。
対中関税を支持する教授だが、そのゴールを明確化しておく必要があるという。

端的に言えば、関税導入のコストは、米企業の技術を不法に取り上げるのをやめるよう中国を説得できた場合に得られる利得に比べて大きくない。

フェルドシュタイン教授がProject Syndicateで、米中貿易戦争の損得勘定を冷静にはじいている。
教授は貿易摩擦開始時から、米政権の本当の狙いは中国による不当な技術移転の阻止にあると解説してきた。
こうした点は、多くの国が米国のやり口に憤慨しつつも中国の味方にまではなれない理由だろう。
確かに中国には改めるべき点が多くある。
(多寡を別とすれば、ほとんどの国に改めるべき点がある。)

フェルドシュタイン教授によれば、米国が中国からの輸入全体に25%関税を課した場合でも関税の総額はGDPの0.5%にすぎないという。
決して小さな数字とは言えないが、全体で言えばさほどの規模ではない。
セクターによって効きはマチマチだろうが、それも再配分によってある程度は緩和できよう。
さらに、輸入者は中国以外にも低コストの輸入元を見つけられるかもしれない。

一方、中国の方は分が悪い。
2国間の輸出入を見ると、中国からの輸出の方が4倍も大きい。
また、概して中国経済の方が輸出依存度が高い。
つまり、米国にとって勝算は十分というわけだ。
第三者が固まって戦いを挑んでくるのでもなければ、今回の米中貿易戦争での米国の勝利は動かしがたい。
フェルドシュタイン教授の心配もそこではない。

米国がなぜ関税を課しているのかの理由がわからない。
政権はそれによって何を達成しようとしているのか明言していないからだ。
あいまいになっている1つの理由は、米高官が米国の対中貿易政策に対する影響力で競い合っているからだ:
ムニューチン財務長官、ライトハイザー米通商代表、ナヴァロ ホワイトハウス国家通商会議ディレクター、ロス商務長官。

米国内では対中関税は意外にも多くの支持を集めている。
職を失って苦しい思いをしている人は経済理論など関係なく関税に賛成するかもしれない。
また、中国に不適切な通商慣行を取りやめさせるための手段として支持する声も大きい。
フェルドシュタイン教授も後者の例である。

教授は「ほとんどすべての経済学者と同様、一般論として関税に反対だ」と述べている。
問題は、トランプ政権による関税が、公正な通商を実現するための手段にとどまるのかだ。
公正な通商と偏狭な自国第一主義には突き詰めると相いれない部分がある。
フェルドシュタイン教授は釘を刺す。

ホワイトハウスは明確にしなければいけない。
これ(中国を説得すること)こそが米国の政策であり、中国がWTOルールを順守すれば関税は撤廃されるということを。

米国がこれを明言すればディールに不利に働くだろうか。
そうは思えない。
明言すれば、中国にとっていいインセンティブになるはずだ。
それなのに明言されないところに不安が拭えない。

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