WTO無力 トランプ政権、対応に不満 – 毎日新聞

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世界貿易機関(WTO)の概要



 米中の貿易戦争が広がっていることは、貿易紛争の行司役である世界貿易機関(WTO)の無力さを際立たせている。トランプ米政権は、WTOの中国に対する対応が甘いため、有効な通商ルールを確立できなかったと不満を募らせており、WTO離脱も辞さない姿勢だ。WTO改革への機運はあるものの、具体化への動きは鈍い。

 トランプ政権が問題視しているのは、例えば中国が進出企業に求めている「技術移転の強要」だ。中国は自国市場への参入を認める代わりに、技術を教えるよう求めるケースが多い。市場をゆがめるためWTOは移転強要を禁じているが、中国政府は規定を明文化せず、あくまで企業側の「自主的な協力」として行わせるため、規制できていないのが実態だ。

 中国企業に対する補助金の支出問題にも対処できていない。WTO協定では、輸出促進のための補助金を原則禁止し、そのほかの補助金もWTO事務局への通知を求めている。しかし、中国政府は「補助金を出しているのは地方政府なので把握していない」と放置。鉄鋼企業などに補助金を出し続け、世界的な「鉄余り」を生んだ。

 WTOには裁判形式で加盟国の紛争を仲裁する「紛争解決手続き」がある。米国は不公正な貿易慣行の是正を求めて中国を提訴しているが、米国が勝てるとは限らず、結論が出るまで数年かかるとの指摘もある。米情報技術・イノベーション財団のステファン・エゼル副会長は「裁判で米国が勝てるかどうかはリスクがある」とみる。

 トランプ氏はWTO運営に不満を募らせ、「WTO無視」に傾いている。ロイター通信によると、アゼベド事務局長は19日、「米中の対立が終わるとは思えない。両国には多くの『弾薬』があり、対立は関税から貿易全体へと拡大していく可能性がある」と述べ、無力感をにじませた。

 日本や欧州連合(EU)は、「対中国包囲網」という点では米国と利害が一致している。日米欧は25日、ニューヨークで貿易担当相会合を開催し、中国を念頭に、より厳格化したルールを適用するなどWTO改革を検討する予定だ。

 だが米国も、ルールを無視して輸入制限や制裁関税を発動しており、改革の方向性で一致できるかは分からない。【和田憲二、ニューヨーク清水憲司】






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