パキスタン、増税で財政再建狙う 2018年度修正予算案 – 日本経済新聞

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 【ニューデリー=黒沼勇史】外貨不足と財政難に直面するパキスタンが財政再建と新たな資金供給元の開拓に乗り出した。同国政府は18日、2018年度(18年7月~19年6月)の修正予算案を発表し、約1800億パキスタンルピー(約1600億円)相当の増税案と歳出削減策を公表。カーン首相は同日、国際金融機関のイスラム開発銀行(IDB)の本部があるサウジアラビアを訪れた。

 パキスタンは国際通貨基金(IMF)への支援要請を検討していると報道されたが、なるべく頼りたくない事情がある。IMFに頼れば、巨大インフラ事業「中パ経済回廊」(CPEC)にかかわる中国からパキスタンへの融資契約の詳細の公表を迫られ、同事業の大幅縮小を求められる可能性があるためだ。

 それでも8月に政権交代があったパキスタンにとって外貨不足の解消は欠かせない。同国中央銀行によると外貨準備は7日時点で96億ドル。2年間で半減した。いまの水準は輸入額の2カ月分に満たず、対外債務の返済が滞りかねない状況だ。中国の広域経済圏構想「一帯一路」関連のCPECが15年に本格化し、貿易収支の赤字と対外債務が膨らみ外貨準備の激減につながった。経常収支の赤字は通貨売りを誘う。

 財政緊縮化は喫緊の課題だ。「(増税)負担は100%、高所得者にあてた」。ウマル財務相は18日の予算案公表後、記者団に説明した。給与所得が月20万ルピーを超える富裕層の所得税率を25%に引き上げ、排気量1800cc以上の自動車購入に課す物品税は従来の10%から20%に高める。

 自動車の輸入関税やたばこ税も引き上げる。カーン氏の与党、パキスタン正義運動(PTI)は7月の総選挙で「イスラム福祉国家の樹立」を庶民に訴え、勝利した。このため増税対象を豊かな層に絞ったもようだ。

 予算案には歳出削減策も盛り込んだ。アバシ前政権が5月に公表した暫定予算では開発予算を8000億ルピーとしたが、新政権は7250億ルピーに減らした。ウマル氏は18日に前政権が「歳入を3500億ルピー過大に、歳出を2500億ルピー過少に見積もっていた」と非難。(パキスタンの会計年度の)17年度に6.6%だった財政赤字の国内総生産(GDP)比は「今回の緊縮策がなければ7.2%に増える」と述べた。

 IMFがこの春公表した報告書によると、パキスタンの税収のGDP比は12~13%。だが経常収支赤字や債務償還を含む対外支払いは17年度にGDP比で7.5%程度となり、19年度には9%を超える見通し。緊縮財政で債務返済の原資を確保するとともに、財政健全化への一歩を踏み出すことが急務となっている。

 一方、カーン氏やウマル氏は18日、予算案公表後に首都イスラマバードを航空機でたち、サウジに到着した。カーン氏にとって首相就任後では初の外遊。アラブ首長国連邦(UAE)も訪問する予定だ。サウジ訪問の主な目的はIDBからの資金援助の獲得や、同国からの原油輸入代金の支払い延期の要請などと見られている。

 インドのシンクタンク、オブザーバー・リサーチ財団のシニア・フェロー、スシャント・サリーン氏は「パキスタンは今後1年間で外貨準備を100億~120億ドル積み上げる必要がある」と指摘する。IDBから40億ドル程度の調達を目指すとの観測が流れる一方、CPEC推進で協力する中国からは、つなぎ融資を受けているとされる。

 今後の焦点の一つはパキスタンがIMFの財政支援を受けるかどうかだ。パキスタンは1980年代以降に13回、IMF支援を受けた。直近では13~16年に計61億ドルの外貨補填を受け取った。

 今回はさらに多くの外貨を必要とするため「複数の国や機関に支援を要請せざるを得ない」(サリーン氏)状況だ。しかし、IMFに支援を仰げば、CPEC事業にブレーキがかかる可能性がある。7~9日にパキスタンを訪問した中国の王毅国務委員兼外相とカーン氏はCPEC事業の継続で一致した。カーン政権はIMF支援の回避をぎりぎりまで探る構えだ。

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