米中貿易摩擦長期化、日系企業も岐路に – リスク対策.com

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デロイト トーマツ茂木氏、海外リスク動向

2017年11月9日の米中首脳会談(出典:Flickr)

有限責任監査法人トーマツは8月31日、「グローバルビジネスリスク記者勉強会」を開催。ディレクターの茂木寿氏が、直近の世界情勢でいま日本企業が対応すべき最新の海外リスクについて解説した。8月時点で最も大きなリスクとして米中貿易摩擦を取り上げ、今後両国の追加関税の応酬が激化・長期化すれば中国や米国に拠点をもつ日系企業も経営戦略の見直しを迫られざるを得ないと、注意を呼び掛けた。

「米国第一主義」を掲げるドナルド・トランプ大統領は、米大統領選挙期間中から貿易赤字削減を訴えてきた。特に米国の最大貿易赤字国である中国に対して、2017年1月の大統領就任後から政府内で施策検討が始まり、今年7月から次々と追加関税を発動している。

追加関税を最初に発動したのは米国。今年7月6日にトランプ政権が対中輸入818品目(約340億ドル相当)に対して25%の追加関税を発動。これに対し中国政府も同日に対米輸入額約340億ドル相当の輸入に対して25%の報復関税を発動した。

米国は第二弾として8月23日に279品目(約160億ドル相当)に対して25%の追加関税を開始したのに対し、中国政府も同日に160億ドル相当の品目に対して25%の追加関税を発動した。

米国は今後さらに第4弾として2000億ドル相当の大規模な追加関税を行う計画を発表しており、中国政府もその報復措置として600億ドル相当の対米輸入に4段階の関税率で追加関税を行うと発表している。両国の追加関税の応酬は激化・長期化の様相を呈している。

関税応酬いつまで続くか

今後の焦点は、追加関税の応酬がいつまで続くか。米国は中国に対して関税引き下げの条件として、米国企業が中国市場に参入する際の障壁となっている①知的財産権の保護、②特定産業を保護する補助金の撤廃、③産業障壁の撤廃、の3つを挙げ、これが実現しない限り追加関税を撤廃しない強硬な姿勢を示している。

昨年の米中間の輸出入実績では、中国から対米輸出額は年5000億ドルに対し、米国から対中輸出額・年間1300億ドル。茂木氏によれば「このまま追加関税の応酬が続けば、中国は打つ手が無くなり、最終的に不利な条件を受け入れざるを得なくなる」という見方がある。

ただ茂木氏は「中国政府は簡単に音を上げて妥結することは考えにくい。米国も好景気で関税引き上げの国内経済への影響は限定的で、11月の中間選挙に向けて支持率獲得のために強硬姿勢が続く」と事態の長期化を予測する見方が大勢を占めているという。

日系企業にも影響懸念

米中貿易摩擦の長期化は、日系企業への影響も大きい。とくに「中国で生産したものを、米国に輸出する」というビジネスモデルが在中や在米の日系企業にとって、関税高騰は製品や原材料の値上がりを招き、市場の価格競争力を低下させる。茂木氏は「長期化すれば売上計画の大幅な見直し、中国以外へ生産拠点移転、サプライチェーンの見直しを検討する必要性がでてくる」とみる。

また今回の中国に対する制裁関税が、今後EUや日本にも広がる可能性もある。茂木氏は「グローバル展開する日系企業にとって、特定地域の生産・市場に縛られない新たなポートフォリオを考え直す岐路に来ている」と注意を促している。

(了)

リスク対策.com:峰田 慎二





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