日米閣僚協議 自由貿易の原則を守れ – 信濃毎日新聞

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 日米両政府による新たな閣僚級貿易協議が始まった。

 米国は貿易赤字の削減を狙い、自由貿易協定(FTA)を念頭にした2国間の交渉を要請。日本は多国間貿易の枠組みを重視する姿勢を示している。

 隔たりは大きい。初会合では議論は平行線をたどり、結論を次回会合以降に先送りにしている。

 問題は、米国が3月に発動した鉄鋼・アルミニウムに加え、自動車の輸入制限も検討していることだ。想定される追加関税率は25%と伝えられている。

 日本自動車工業会によると、日本車全体の対米輸出台数は177万台余で、米国は全体の4割弱を占める最大の輸出先である。

 輸入制限が発動されると、米国への工場移転が加速し、国内産業の空洞化が進む。自動車関連の製造業が多い県内経済にも打撃は大きいだろう。

 米国は輸入制限をちらつかせ、日本に譲歩を迫っている。2国間協議になれば、自動車や農業分野で一方的な市場開放を迫られよう。自由で公正な貿易ルールに反する行為である。

 欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は7月末、トランプ米大統領との会談で、米国産大豆の輸入拡大を約束して大幅に歩み寄った。自動車への高関税導入をひとまず阻止している。

 EUが昨年、米国に輸出した車の総額は380億ユーロ(約5兆円)に上り、車の輸出総額の約3割を占める。自動車産業の冷え込みはEU経済の停滞につながる。欧州の政治地図で反EU勢力の躍進も懸念されるため、経済摩擦の鎮静を優先した。

 日本は、米国の輸入制限の不当性を訴え、自由貿易の原則を守るように粘り強く主張していくべきだ。輸入制限は米国内の企業が調達する部品のコスト高を招き、生産や雇用にも悪影響を与えると訴えていくことも必要だ。

 日系の自動車メーカーは米国で380万台近くを生産している。そのうち約42万台を米国外に輸出し、米国の貿易収支改善に貢献している。米国は現状を検証し、輸入制限の問題点と自由貿易の重要性を自覚しなくてはならない。

 1980年代末から90年代にかけての日米貿易摩擦でも、米国は関税の大幅引き上げをちらつかせる「力の外交」で輸出制限や市場開放を日本に迫った。日本メーカーは対米輸出を自主規制し、現地生産を増やした経緯がある。同じような結末を避けるよう、政府は手だてを尽くさねばならない。

(8月12日)





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