揺らぐ米英の「特別な関係」 トランプ氏が初訪英 – 日本経済新聞

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 【ロンドン=中村亮、小滝麻理子】トランプ米大統領は13日、ロンドン郊外の英首相別荘でメイ首相と会談した。両首脳は記者会見で歴代のトップが使ってきた「特別な関係」という表現を使い、通常の同盟より深い関係を演出。新たな通商協定の締結を目指す姿勢もみせた。ただ、トランプ氏は会談前に英国・メイ政権の欧州連合(EU)離脱方針を公然と批判。英国内の「反トランプ」感情も高まっており、米英関係の内実は大きく揺らいでいる。

トランプ米大統領はロンドン郊外の英首相別荘でメイ首相と会談した=AP

 「特別な関係は自由や正義、平和のために不可欠だ」「(米英関係には)最も高いレベルの特別さがある」。トランプ氏は会見冒頭に米英の「特別な関係」の重要性に繰り返し触れた。メイ首相は「大西洋同盟が続くと保証することは我々の責任だ」と強調。米国との関係拡大を訴えたうえで「野心的な貿易協定」を目指すことで合意したことを明らかにした。

 トランプ氏が英国を訪問するのは2017年1月の大統領就任後で初めて。18年2月にも訪問する計画があったが、トランプ氏の反移民政策などに反発する英国内の世論を踏まえて見送ってきた。トランプ氏は13日にエリザベス女王とも会見した。

 米英のモノの貿易収支はほぼ均衡しており、国防費も北大西洋条約機構(NATO)が目標とする国内総生産(GDP)比の2%を超える。巨額の対米黒字を抱えるドイツなどに比べて対立の火種は少ないはずだった。

 ただ、トランプ氏は12日、英紙サンのインタビューでメイ政権が決めたEUとの協力を重視する穏健な離脱方針を痛烈に批判。今の方針を堅持すれば「おそらく米英貿易協定の機会をつぶすだろう」と発言した。メイ政権の離脱方針に同意できないとして辞任したジョンソン前外相については「偉大な首相の素質が備わっている」と高く評価。メイ政権内の米側への不信感を高めていた。

 13日の会談ではサン紙の報道を「フェイクニュース」と批判。米英の協調の演出に努めたが、米英の相互不信はくすぶり続けている。トランプ氏は13日の会談後の会見でも「メイ首相は素晴らしい仕事をしている」と述べた一方「ジョンソン氏は素晴らしい首相になるだろう」と繰り返した。

 トランプ氏が内政干渉ともとれる発言をした背景には、通商問題や中東外交などでメイ氏がトランプ氏と立場を異にしてきたことへの不満がある。米紙ワシントン・ポスト(電子版)によると、トランプ氏はメイ氏には政治的な洞察力がないと批判していた。

 米英は第2次大戦の勝利に導いた同盟関係を「特別な関係」(チャーチル元首相)と位置づけてきた。冷戦終結後にEUが発足した後も、ドイツやフランスなど欧州大陸の各国と米国との意見対立が生じるたびに仲介役を果たし、米欧関係の安定に存在感をみせてきた。

 ある英外交官は「圧倒的な影響力を持つ米国に対して、英国が率直に意見したり批判したりできたことに『特別な関係』の真価があった」と語る。ただ、英国のEU離脱の決定やその後の英政権内の混乱で、同国の仲介役としての外交力は大きく低下した。

 短期的な国益を最優先し、イエスマンを好むトランプ氏には自らに耳障りなことを直言してくれる「特別な関係」の効用を重視している様子はみられない。英有力シンクタンクの研究者は「このままでは英国は米国に属国扱いを受けることになる」と嘆く。





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