経常収支の不均衡が続くと心配なのは新興国 | 読んでナットク経済学 … – 東洋経済オンライン

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変動相場制の下でも為替による調整は働かず

中国やEUなど米国の貿易赤字の相手国に追加関税や数量割り当て、投資規制など力業で是正を迫る米国のトランプ大統領(写真:REUTERS/Jonathan Ernst)

米国のドナルド・トランプ大統領は、米国の貿易収支が大幅な赤字となっていること自体が、貿易相手国による不公正な行為の証拠だとして、一方的に輸入品に高関税を課し始めた。この主張の背景には2つの考えがある。第1は、貿易収支や経常収支についても、「赤字は悪で黒字は善だ」というものである。第2は、「何か操作が行われなければ収支は均衡するはずだ」ということだ。

経常収支や貿易収支は、経済学の理解と一般的なそれとの違いが著しいものの1つだ。経済学の教科書には、「黒字が善で赤字が悪、というわけではない」と書かれている。国際収支のうち経常収支は、一般には企業収益と同じようなものだと認識されていることが多く、経常収支やその一部である貿易収支についても「黒字は儲けで赤字は損失」と考えている人が少なくない。

経常収支の短期の赤字はまったく問題ない

トランプ大統領は、しばしば、米国の貿易収支が巨額の赤字となっていることについて、「米国が巨額の富を外国に奪われ損をしている」「雇用が奪われている」という趣旨の発言をしている。日本のメディアでも「経常収支は、日本全体が海外から『稼ぐ力』を表している」という説明はしばしば見られるし、経常収支の黒字幅が縮小すると「日本の稼ぐ力が低下したことの表れだ」というコメントが必ずといってよいほど出てくる。

しかし、そうした理解は正確ではない。国際収支のうち経常収支は、企業収益よりはむしろ家計の「所得支出収支」に似ている。

働いて収入が得られるようになってから貯蓄を続け、住宅ローンを組んで家を購入し、ローンの返済を続けながら退職するまでに相応の老後資金を蓄え、年金生活に入ってからは貯蓄を取り崩すという、ごく普通の人生を考えると、この家計の収支は時期によって黒字になったり赤字になったりしている。

つねに黒字である必要はなく、一生を通じて収支が均衡していれば問題はない。むしろ黒字をずっと維持しようとすると、たとえば、ローンを組んで住宅を購入することはよくないことだ、というおかしな話になる。年金生活者がそれまでに蓄えた金融資産を取り崩して生活するのも、家計収支が赤字になるからよくない、ということになるが、老後生活を支えるために蓄えた資金を使わずに死んでしまうのはばかげている。





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