赤字バス 貨客混載継続 – 読売新聞

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 ◇奥宇陀、洞川線で社会実験

 赤字の路線バスの空席を利用して宅配便などの貨物を乗客と一緒に運ぶ「貨客混載」と呼ばれる運送形態の社会実験が県内の路線バス2路線で半年間行われ、4月以降も継続されることが決まった。同様の運送形態は全国各地で広がっており、バス路線の存続に加え、宅配業者の人手不足解消や燃料費などのコスト削減が見込まれる。県などは今後、本格運用を目指す。(辰巳隆博)

 

 ◇奈良交通、ヤマト運輸 路線存続、人手不足解消に期待

   ■一石二鳥

 実験は、県と奈良交通、ヤマト運輸などが昨年10月から実施。奈良交通が運行する奥宇陀線の一部(榛原駅―掛西口、21キロ)と洞川どろがわ線の一部(大淀バスセンター―天川川合、26・8キロ)で取り組む。

 同社によると、両線は1970年代後半には赤字路線に転落。奥宇陀線の乗客数は80年度の約34万7000人から2016年度は約2万2000人にまで激減。16年10月~17年9月の収支率(コストに占める収入の割合)は奥宇陀線が34・9%、洞川線が67・8%と大幅な赤字だ。

 貨客混載は、中山間地域でのバスの収益の改善と物流の効率化、地域住民の生活サービス維持などを目的に、平日1日1便で行われている。ヤマト運輸からの配送委託料で赤字を縮小させ、路線の維持を目指す。

 宇陀市と大淀町にあるヤマト運輸の集配所からの荷物を混載区間の始発から終着のバス停まで運び、ヤマト運輸の配達員に引き渡される。人手不足に悩むヤマト運輸側も配達員の走行距離の削減や休憩時間の確保、輸送燃料の節約などメリットがある。

   ■効果あり

 奥宇陀線は昨年9月の廃止を受けて、10月から沿線の宇陀市、曽爾村、御杖村でつくる宇陀地域公共交通活性化協議会が運営主体となり、奈良交通に委託してコミュニティーバス(定員56人)を運行させている。年間約2290万円を負担し、荷物は曽爾村方面へ向かう往路のみ。2人がけの座席に縦60センチ、横60センチ、奥行き80センチの箱を荷物の量に応じて1、2ケース設置して、荷物を運ぶ。

 同協議会によると、昨年10月~今年1月の貨客混載バスで運んだ荷物は1日平均7・9個。担当者は「赤字縮小の効果は表れている」とし、奥宇陀線の収支率を40%に上げることを目標にしている。

 奥宇陀線では混載時でも空席があり、今後、ヤマト運輸以外の運送会社への呼びかけや個人商店の仕入れ代行、宇陀市と御杖村の道の駅で売られている品物の相互供給、復路の輸送を検討する。

 一方、洞川線も、貨客混載は天川村方面に向かう往路のみだが、県などが詳しいデータを明らかにしていない。

   ■地域の足

 日用品の買い物や、通院などで週1度はバスを乗り継いで宇陀市内を訪れるという御杖村の西村初子さん(85)は、「車もなく、独り暮らし。外出にバス路線は必要なので、廃線にしないでほしい」と切実な声で訴える。

 県は社会実験について、現場での対応や荷物監視の人員配置などで17年度は約430万円を支出。奈良交通とヤマト運輸からは、1年を通じたデータを取りたいという要望があるといい、担当者は「実験結果を踏まえ、さらに効率的な運用を検証しながら4月以降も貨客混載を続けていく」と話した。





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