国保の運営移管 都道府県主導で再建を着実に – 読売新聞

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 赤字体質から脱却し、持続可能な制度に転換できるか。国民の3割近くが加入する国民健康保険の立て直しに、着実につなげねばならない。

 市区町村が担ってきた国保の財政運営が、4月から都道府県に移管された。1961年の現行制度開始以来の大改革だ。

 国保は、会社員向けの健康保険組合などに入れない人々を対象とする。かつては農業や自営業の人が中心だったが、今では定年後の高齢者や無職の人、非正規労働者らが8割を占める。

 加入者の年齢構成が高く、医療費がかさむ。所得水準は低く、保険料収入は伸びない。地方の人口減で小規模化・不安定化も進む。構造的要因から、多くの市区町村が実質的に赤字だった。

 国保は、全国民に保険医療を提供する「国民皆保険」の最後のとりでである。規模拡大で安定化を図る都道府県への運営移管は、国保を維持するために欠かせない。

 超高齢社会に適した医療体制を構築する上でも意義がある。

 都道府県は、地域のニーズを踏まえた医療サービスを整備する役割を担う。保険財政にも責任を負うことは、より効率的・効果的な体制作りに取り組む動機付けとなろう。結果として、医療費膨張を抑制する効果が期待できる。

 国保財政は、各市区町村でやり繰りする方式から都道府県が市区町村に分担金を割り振る方式になった。都道府県は分担額に見合う保険料率を示し、実際の保険料の決定や徴収は市区町村が担う。

 課題は、地域格差が大きい保険料をいかに平準化するかだ。

 従来、同一都道府県内でも最大3倍超の格差があった。加入者の年齢構成や所得水準、医療サービスの充実度、健康増進の取り組みの違いなどによるものだ。

 受けられる医療や保険料水準は同等であることが望ましいが、保険料統一の方針を掲げるのは、大阪府など少数にとどまる。

 保険料の拙速な統一には、弊害もある。病気予防などで医療費抑制に努める市区町村では、医療費のかさむ市区町村に引きずられて負担増になりかねない。医療サービスが不十分な山間地などで、不公平感が高まる可能性もある。

 都道府県は、医療の地域格差解消や全域的な医療費抑制策の推進により、保険料の平準化へ向けた環境整備を急ぐべきだ。

 保険料収入の不足分を一般会計から補填ほてんする市区町村も多い。保険財政健全化には、補填を解消し、収支を明確にする必要がある。





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