予想インフレ率の上昇と運用資産への影響 – 株式会社ニッセイ基礎研究所 (登録)

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2013年4月前後で構造変化が生じており、相関係数がゼロ近辺からプラス方向にシフトしたことが分かる。つまり、異次元金融緩和導入後は、日本において予想インフレ率と各金融指標との連動性が強まっているということである。予想インフレ率は、日本の各金融市場の動向を説明する重要な共通ファクターになっている。

この結果から、今後も世界的に予想インフレ率の上昇が継続するのであれば、国内の株価は上昇し、為替は円安になり、国債利回りは上昇することになる。よって、予想インフレ率上昇への備えとして、国内株式や外国資産を増やし、日本国債を減らすという運用戦略が考えられることになる。国債利回りについては、予想インフレ率が上昇することで、名目利回りが上昇するということであり、理論的な整合性もある。しかし、日本銀行によるマイナス金利政策やイールドカーブ・コントロールによって短期金利や長期金利の水準が一定範囲内に収まる状況が継続するのであれば、これらのゾーンにおける国債利回りと予想インフレ率の相関関係が弱まっていく可能性に留意しておく必要がある。

年金運用においてこのようなインフレリスクをとるような戦略を採用すべきかどうかは議論の余地があるだろう。一般的には退職給付債務のキャッシュフローはインフレ率と連動しない場合が多く、イールドカーブ・コントロールにより割引率もそれほど変化しない可能性もある。年金資産サイドでインフレリスクをとるような運用戦略を採用すれば、負債サイドとのリスク特性の違いが大きくなることに繋がってしまう。よって、インフレリスクをとる戦略はリスクプレミアムを得る手段の一つとして捉えることになるものと思われる。また、高インフレ下では、債券だけではなく株式等のリターンに対しても、インフレ率がマイナスに作用すると指摘されることもあるため、これらの相関関係が崩れるというリスクシナリオも想定しうる。予想インフレ率の水準にも注意を払っておきたい。

 


 

   日本はCPI(生鮮食品を除く)、米国はCPI-U、英国はRPI、欧州はHICP(タバコを除く)に関するインフレスワップ市場のブレークイーブン・インフレ率である。

  2 「2014年度9月度 退職金・年金に関する実態調査結果(日経連)」(2015年4月28日)によると、賃金改定額と関係なく別建てで退職金算定基礎額が決まる企業が76.2%あり、別建てとしている企業のうち「ポイント方式(点数×単価)」を採用している企業が86.0%である。





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