深刻化する化粧品の販売員不足 – 週刊東洋経済プラス

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06労働, 有効求人倍率 コメントはまだありません



中国人訪日客が押し寄せる百貨店の化粧品売り場。中国語ができる通訳スタッフは不足(共同通信)

「いくら募集をかけても、美容部員が足りない」。化粧品の業界関係者たちは口々にそう語る。


化粧品業界は今、空前の好景気に沸いている。中国人訪日客による高価格帯化粧品の購買が広がり、大手化粧品メーカーは軒並み増収増益を達成。経済産業省の生産動態統計によれば、2017年の化粧品市場は1兆6325億円(前年比約7%増)と、右肩上がりの成長が続く。


そんな中、ある問題が深刻化している。店頭で接客し、化粧品を販売する美容部員が足りていないのだ。厚生労働省が発表した今年8月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月と同水準の1.63倍で44年ぶりの高水準だった。一方、美容部員の求人倍率は1.67倍とこれをやや上回っている(美容部員の人材派遣会社アイスタイルキャリア調べ)。



背景にあるのが店頭販売の強化だ。従来は通信販売のみ行っていた化粧品メーカーが、インバウンドの増加で店頭販売を始める動きを加速。美容部員を必要とするブランド数が拡大した。さらに、中国語などの通訳ができる美容部員が不足する事態も起きている。


職場環境も影響しているようだ。6年間、外資系ブランドの美容部員として働いたある女性は昨年末に退職した。「基本的にずっと立ち仕事。残業がない日なんてほぼなく、生活に占める仕事の割合があまりにも大きすぎた」。


奪われるのは体力だけではない。「チーフ(店長クラス)と相性が合うかがすべて」と口にするのは現役美容部員の女性だ。売り場によっては、二人体制でシフトを回す場所もある。「気が合わない人とも、日々狭いスペースで長時間ずっと一緒にいなくてはならない。人間関係がこじれて辞めるケースもある」(業界関係者)。


給与水準が見合っていないという声も聞こえてくる。「某有名ブランドの臨時雇用者の月給は15万円にも満たない。そこから税金も引かれるから手取りはわずか。一人暮らしをするにはギリギリだ」(同)。


企業側も働き方を模索


こうした状況に企業側も手をこまぬいているわけではない。コーセーは14年から臨時雇用者の正社員化に力を入れてきた。18年3月末時点では、美容部員の約9割を正社員が占める。給与水準の引き上げやボーナスの増額など、待遇をよくすることで定着率の向上につなげた。業界では資生堂やファンケルも正社員化を進めている。


人材派遣会社も人手確保に工夫を凝らす。アイスタイルキャリアを傘下に持つアイスタイルの吉松徹郎社長は「未経験者でも、自分の好きなブランドについてはいくらでも語れるような人材を確保したい」と語る。たとえば同社が運営する化粧品口コミサイトでは今後、製品写真の隣に「働きたいボタン」を設置する。化粧品に高い関心を持っている人を、美容部員へと引き込むことを狙う。年内にはこうした機能を含め、サイトを刷新する予定だ。


化粧品業界は、当面好調が持続するだろう。美容部員の確保や待遇の改善に加え、業界全体として働きやすい職場環境を作れるかが重要となる。



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