バブル後、消費行動一変 中間層の勢い戻らずデフレ続く – 京都新聞

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百貨店売上高と民間給与の推移
百貨店売上高と民間給与の推移

 1986年から平成の始まりを挟んで91年まで続いたバブル景気では、賃金や資産価格の上昇を背景に、輸入車やブランド品が飛ぶように売れ、海外旅行も激増した。日本経済が長い不況のトンネルに入ると、消費行動は一変。百貨店売上高は減少傾向が続き、低価格のファストファッションが隆盛を極めた。伸び悩む賃金と将来不安が足かせとなり、日銀の大規模な金融緩和にもかかわらず、今もデフレからの完全脱却には至っていない。

 バブル期の高額消費は、株高や不動産の高騰で利益を得た富裕層だけでなく、中間層も主役を担った。原動力となったのは雇用の安定と収入の増加だ。有効求人倍率は85年1月の0・56倍から90年1月に1・04倍へと上昇。実質賃金も85~90年で11%強も伸び、旺盛な購買欲を支えた。

 91年には全国の百貨店売上高が、85年の1・4倍となる9兆7千億円に達した。自動車の輸入台数は80年代前半の3万~5万台から、90年には25・1万台へと急拡大。86年に約550万人だった海外旅行客は、90年に1千万人を超えた。

 京都高島屋(京都市下京区)の田原和也店長(52)は、バブル真っ盛りの88年に入社し、大阪店(大阪市)で婦人服を担当した。「十数万円のスーツなど高級婦人服が飛ぶように売れた。社員も海外ブランドのバッグで出勤した。世界のすごいものを身につける喜びを日本中の人が感じた」と当時を振り返る。

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 バブル崩壊後は、リストラや非正規労働の拡大といった雇用の不安定化、賃金の伸び悩みで「身の丈消費」が主流になっていく。小売業界では、割安な衣料品を売りにするユニクロなどの専門店やインターネット通販が台頭。消費者物価指数(総合)の年平均は1999年から5年連続でマイナスとなった。

 景気が拡大に転じた2012年末からは、高額消費に復活の動きも見られる。JR各社が豪華寝台列車を導入。JR西日本が昨年6月に運行を始めた「トワイライトエクスプレス 瑞風(みずかぜ)」は、初回申し込みの平均倍率が5・5倍。75万円からの「ザ・スイート」は最高68倍に上った。

 京都市内では、首都圏などの富裕層による別荘目的のマンション購入が活発化。不動産経済研究所によると、16年のマンション平均価格は、1戸1億円以上する「億ション」の需要に押し上げられ、5296万円と首都圏並みになった。百貨店でも、地価や株価の上昇による「資産効果」の恩恵で高級時計や宝飾品の販売が上向いた。

 とはいえ、こうした現象は局所的にとどまる。民間企業で働く給与所得者の平均給与額は16年で421万6千円と4年連続で伸びたが、過去最高の97年と比べると45万7千円少ない。正社員と非正規社員の給与格差は314万8千円で、比較できる12年以降で最大となった。中間層が厚みを失った影響は大きく、百貨店の全国売上高は16年、36年ぶりに6兆円を割り込んだ。

 消費性向も変化した。商品やサービスの購入に当たり体験を重視する「コト消費」や、一つの物品を複数で共有する「シェアリングエコノミー」が盛り上がりを見せている。

 田原店長は「バブル期と異なり、社会保障への将来不安があるし、情報量も比べものにならないほど多いので、爆発的な消費は起きない。お金があっても使えないという気持ちを消費者はどこかに抱えているのではないか。小さな消費の盛り上がりをとらえるよう、来店客数を増やす多様な品ぞろえを進める必要がある」と語る。

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 来年5月で幕を下ろす平成は、数々の経済危機が起きた。日本のバブル崩壊、米国発のITバブル-。そしてリーマン・ショックからちょうど10年がたった。過去のバブルの現場にいた京都、滋賀にゆかりの人たちの当時を振り返り、今に続く影響や新たな危機の芽に目を凝らす。

【 2018年09月16日 10時46分 】





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