介護を考える 日本の未来支える新人職員へエール 福祉現場の魅力PR NPO理事、前橋で /群馬 – 毎日新聞

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 介護施設など福祉現場では離職者が少なくなく、人手不足が深刻になっている。イベント開催などを通じて医療福祉業界のイメージアップに取り組んでいる東京都のNPO法人「Ubdobe」(ウブドベ)の中浜崇之理事(34)が4月、前橋市内で、新入介護職員向けに講演し、「日本の未来を支えるのはあなたたち。何よりもまず楽しく仕事して」と訴えた。【杉直樹】

創造力が必要

 講演会は、県が介護保険施設や障害者福祉施設に就職して1年未満の職員を対象に初開催した合同入職式で開かれ、約140人が耳を傾けた。

 千葉県の特別養護老人ホーム「みやのぎ荘」の施設長でもある中浜さんは、現場と世間の認識には“イメージギャップ”があると感じている。

 一般向けのアンケートで「介護の現場に必要な能力」を尋ねると「体力」の回答が圧倒的に多く、肉体労働のイメージが強いという。同じ質問を介護職員に投げかけると、「体力」は上位3位に含まれなかった。「実際は、企画力やクリエーティビティー(創造力)が必要な仕事なんです」

 中浜さんが「クリエーティビティー」の必要性を感じる場面は日常的にあるという。

 デイサービスを利用するため施設に通っている認知症の80代男性は当初、「昼間は働くものだ。遊んでいられるか」と施設の利用を拒んでいた。ある日、施設の事務作業を手伝ってくれるよう頼んでみた。「事務職員が足りないのでお願いします」。以来、態度が一変。家族も信じられないような速さで手紙の三つ折りや封ののり付けなどの作業をこなしてくれたという。「こっちで勝手に判断しないで突っ込んでみると、本当にいろんな能力が引き出せる。『何もしないで』と言われて座っているだけになっている人が多いのが本当にもったいない」

 ある90代の女性は「体調不良」を理由に日常的に食事を半分残していた。医学的にはいたって健康なのに--。中浜さんらは首をひねっていた。ある日、ファストフード店に連れ出してみると「おいしい!」と連呼し、食後のデザートまで注文した。

 この“ファストフード店行き”は他にもいい効果を生み出した。同行した80代の男性が「自分は本当は東京の深大寺そばが食べてみたい」と初めて本心を語り出した。深大寺そばを食べるには車で30分程度かかる。尿を我慢しなければならない。それをケアプランの「長期目標」と捉えれば、食べに行く日の3カ月前時点の望ましい心身状況や、家族のサポートの仰ぎ方が定まってくる。「一人一人の夢を見つけ、考え、実現するのは面白いんです」

イメージ変えて

 だが、介護職を取り巻く環境は厳しい。群馬労働局によると、昨年度の介護系の有効求人倍率は全職種の2倍以上の3・52倍で慢性的な人手不足に直面している。「13歳のハローワーク」が公表する「人気職業ランキング」では、「ケアワーカー」は100位圏外。

 介護労働安定センターの調査(2016年)では、全国の介護労働者の1年以内の離職率は16・7%で前年に比べ0・2ポイント悪化し、全産業平均の15%(15年)を上回る。

 中浜さんは、離職率が高い背景には、職場で悩みを打ち明けにくいこともあると考え、10年に任意団体「介護ラボしゅう」を設立し職場の内外で互いに悩みや考えを語り合う会を開いている。

 「家族を預けて安心して仕事に行けるのは介護職があるから。高齢化が進み、さらに必要とされる」。中浜さんにとって、介護職の人気を上げることが活動の一つの目標でもある。「友達や家族に仕事の楽しいことを話して。楽しそうにしていると世間のイメージも変わるはず」とエールを送って講演を締めくくった。

 4月に太田市のデイサービスに就職した介護職員の栗原みゆきさん(18)は講演を聞き、「何だか楽しい仕事もできそう。介護福祉士の国家資格、目指そうかな」と前向きに話した。






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