世界的な賃金の伸び悩みはミステリー、労働市場堅調にもかかわらず – ブルームバーグ

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主要7カ国(G7)をはじめとする各国では労働市場が改善し、失業率は当局が完全雇用と見なす水準近辺かそれをやや下回る水準にまで下がった。それでも労働者の賃金は世界的に伸び悩んでおり、エコノミストらを当惑させている。

  このことは、賃金上昇が需要の拡大や企業投資を喚起し、結果的に価格決定力が上がるという力強い流れが先進国でなかなか実現せずにいることを意味する。ドイツ銀行のチーフ国際エコノミスト、トーステン・スロック氏は「賃金上昇がほとんど見られていない」のは「謎」だと話す。この謎は世界の労働市場の健全性に不確実性を投げ掛けるもので、解明するのは重要課題だ。

  各国の金融当局はこれまでのところ、経済に残るスラック(たるみ)が賃金上昇圧力の弱さの原因だと説明してきた。米国では、パートタイム就労を余儀なくされている労働者の数が2008年以来の水準まで減った。日本では、サービス産業で人手が不足しているにもかかわらず、賃金の増加は見られていない。カナダでは失業率が先のリセッション(景気後退)以降で最低となったが、賃金上昇率はここ10年余りで最も低く、インフレに追いつかない状態となっている。

  賃金上昇が昨年加速した英国でも、欧州連合(EU)離脱選択後の不透明性が作用してか最近では上昇ペースが減速し、インフレ加速を背景に賃金の実質上昇率が縮小している。ドイツで賃金が力強く伸びない理由の一つは、対外貿易で競争力を高く維持したいとの意識から労働組合が賃上げ要求を手控えていることがある。ドイツ政府が先月発表した16年の賃金上昇率(インフレ調整済み)は1.8%と3年ぶりの低水準だった。これは、ドイツの失業率が東西ドイツ統合以降で最低となったことと整合しない、不可解なデータだ。

  賃金上昇ペース低迷のより深い理由は、世界的に生産性が伸び悩んでいることかもしれない。米国の生産性の前年比上昇率は16年に1%と、金融危機前の07年の2.4%を大きく下回った。ソシエテ・ジェネラルの米国担当シニアエコノミスト、オメイア・シャリフ氏(ニューヨーク在勤)は「こう言うのは気が引けるが、賃金の伸びについてはこれがニューノーマルなのかもしれない。生産性が向上するまで、名目賃金上昇率の3%超えは至難の業かもしれない」と話した。

  このほか、グレート・リセッション(大不況)が雇用と産業に深い爪痕を残し、賃金への期待を押し下げたのかもしれないと考える向きもある。ワシントンにあるピーターソン国際経済研究所のネイサン・シーツ氏は「インフレ期待が極めて抑制された状態となり、その関連で賃上げ要求も非常に抑えられている。ここ数年続いた低インフレ、ディスインフレ、そして場合によってはデフレ的な環境の遺産だ」と指摘した。

原題:From Osaka to Frankfurt, Listless Wage Gains Remain G-7 Mystery(抜粋)



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