「働き方」法案の前提が崩れた – しんぶん赤旗

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2018年2月19日(月)

主張

首相の答弁撤回

 安倍晋三首相が「働き方改革」一括法案に盛り込む「裁量労働制」の拡大をめぐる自らの国会答弁を撤回して謝罪に追い込まれ、大問題になっています。撤回した首相の答弁は「裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある」という、法案の根幹にかかわるものです。答弁の根拠となったデータそのものが大うそだったのです。長時間労働を野放しにする裁量労働制の拡大などを盛り込んだ法案に道理がないことはいよいよ明白です。国会提出はきっぱり断念すべきです。

ずさんなデータを根拠に

 裁量労働制は、いくら長時間働いても、労使で事前に合意した分だけを働いたとみなす制度です。今でも裁量労働制は長時間労働の温床の一つとされており、それを拡大する法案には労働者、過労死遺族の人たちなどから厳しい批判の声が上がっていました。

 首相は先月29日の国会答弁で、裁量労働制の方が一般労働者より労働時間が短いと述べたのは、国民の批判をかわし、裁量労働制の拡大を合理化しようとしたものでした。それを撤回したとなれば法案の前提は成り立ちません。

 この答弁の基礎になったとされるデータは、厚生労働省の「2013年労働時間等総合実態調査」です。これをもとに首相は、企画業務型裁量制の労働者は1日9時間16分、一般の労働者は同9時間37分の平均労働時間になり、裁量労働制の方が一般の労働者よりも短いと主張しました。しかしこのデータは、本来なら比較できない数値を都合よく加工したものです。

 裁量制の労働者については、事業所が「労働時間の状況」として把握した時間です。これに対し一般労働者は、実際に働く「所定労働時間」より長い「法定労働時間」(8時間)に、時間外労働を足していました。一般労働者の労働時間を長く見せるために手を加えていたのです。しかも調査は労働者全体の平均値ではなく、抽出した「平均的な者」の労働時間であり、実態を正確に反映していません。

 裁量労働制の労働時間が長いことは多くのデータから明らかになっています。労働政策研究・研修機構が労働者から聞いた調査では、企画業務型裁量制の労働者の1カ月の平均労働時間は194・4時間に対し、一般労働者は186・7時間です。厚労省の労働基準局長は他に裁量労働制の方が短いというデータがあるのかと聞かれ「持ち合わせていない」と国会で答弁しています。根拠のなさは動かしようがありません。実態をねじ曲げたデータを使い、悪法を国民に押し付けようとする安倍政権の姿勢は到底許されません。

法案提出断念へ世論広げ

 安倍政権が今月末にも国会提出を狙う「働き方改革」一括法案は、裁量労働制の拡大だけでなく、「残業代ゼロ制度」の導入、過労死水準の残業の容認―など財界の要求に沿った「働かせ方大改悪」というのが実態です。首相はあくまで「働き方改革」一括法案を国会に提出しようとしていますが、あまりにも無反省です。

 しかし、追い詰められているのは安倍政権です。虚偽データをつくった安倍政権の責任を徹底追及するとともに、法案提出の断念を迫る世論と運動を国会内外で大きく広げる時です。





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