長時間労働の改善のための考察-新たな政策の無理な実施より既存の制度の定着を – 株式会社ニッセイ基礎研究所

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このように多様な政策が実施されているにもかかわらず、日本の労働時間は未だに大きな改善が見られていない。政府は、労働時間の短縮のために次々と新しい対策を発表しているものの、既存の制度をより充実した形で実施するだけで労働時間の大きな短縮が期待される。ここでは主に二つの制度の効果について試みた。

最初に最も大きな効果が期待されるのが完全週休二日制である。労働者が法定労働時間、つまり1日8時間、1週間に40時間だけを働く場合は、完全週休2日制が適用されていると言える。しかしながら労働基準法では完全週休2日制を強要しておらず、企業によっては週休2日制を適用するケースも少なくない。完全週休2日制が、1年を通して毎週2日の休みがあることを意味することに比べて、週休2日制は1年を通して、月に1回以上2日の休みがある週があり、他の週は1日以上の休みがあることを表す。厚生労働省の調査結果によると2015年現在、完全週休2日制を実施している企業の割合は50.7%に過ぎない。仮に、今まで、週休2日制を実施していた企業が完全週休2日制を実施することになると、労働時間は年間157.8時間も減らすことができる(式1)。

式1) ・完全週休2日制を実施した場合の休日 → 52週×2日=104日

     ・週休2日制を実施した場合の休日 →(40週×1日)+(12週×2日)=64日

           ・休日の差→104日-64日=40日

              40日を労働時間に換算すると40日×8時間=320時間

           ・320時間×49.3%(週休2日制を実施している企業の割合)=157.8時間

次に二つ目の対策としては、有給休暇の取得率を引き上げることである。2015年の労働者一人当たりの年次有給休暇の取得率は48.7%で、2004年の46.6%と比べて大きな差がなく低水準にあることが分かる。また、2015年の年次有給休暇の平均取得日数も8.8日で、2004年の8.4日と大きく変わっていない。そこで、有給休暇の取得率を100%に引き上げると、2015年基準で9.3日の労働時間を減らすことが可能であり、これを労働時間で換算すると74.4時間になる(式2)。

式2) 有給休暇の平均付与日数-平均取得日数=18.1日-8.8日=9.3日

    9.3日を労働時間に換算すると9.3日×8時間=74.4時間





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