年率4%成長 持続できる環境あるか – 中国新聞

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 今年4〜6月期の国内総生産(GDP)の速報値が、年率換算で4・0%と大幅に伸びた。6四半期連続のプラス成長は11年ぶりである。

 これまで成長を引っ張ってきた輸出は落ち込んだが、個人消費や設備投資、公共投資がそろって増えた。内需主導の成長を印象付けたのは好材料だろう。

 焦点は一過性に終わらせず、持続できるかどうかである。内需の拡大で企業業績が改善し、賃金アップや消費拡大につながらないと、経済の好循環を実現できないからだ。

 ただ、内需の伸びは一時的と指摘するエコノミストは多く、克服すべき課題は多い。

 GDPの6割を占める個人消費は0・9%増えた。2008年のリーマン・ショック後に景気対策として実施されたエコカー減税やエコポイント制度などで、大量に購入された自動車やエアコンなど家電の買い替え需要が押し上げた。また好天が続き、比較的暑かったことから、外食を含むレジャー産業が好調だった。

 内需で最も高い伸びを示したのは公共投資の5・1%増だった。昨秋に成立した政府の16年度補正予算の執行が本格化し、効果が表れたとみられている。

 企業の設備投資も2・4%増と大きく伸びたが、建設関係や省力化関連の工作機械などが中心だった。増産に向けた積極的な投資とは言い難い面がある。

 買い替え需要や公共投資の効果は限定的で、8月に入ってからの天候不順は、逆にマイナス要因となる懸念がある。

 日本経済が自律的な成長軌道に復帰するため、鍵を握っているのはやはり個人消費である。ただ、消費者の節約志向は依然として根強く衣類や食品などの買い控えは続いているという。賃金が伸び悩んでいるためだ。

 厚生労働省の6月の毎月勤労統計調査によると、名目賃金に当たる現金給与総額は1年1カ月ぶりに減少に転じた。今夏の大手企業のボーナスも前年を割り込んだ。企業業績はおおむね好調である上、人手不足であるにもかかわらず、賃金は思うように上がっていない。家計の所得への分配が不十分である。

 「賃金が上がった」「家計が楽になった」との実感が伴わなければ、個人消費の回復が一時的になりかねない。

 国外にも懸念材料はある。米国のトランプ政権が北米自由貿易協定(NAFTA)を見直す再交渉を始めるなど、保護主義的な姿勢を強めている。今後の政策次第では日本企業も打撃を受ける恐れがある。緊迫化する北朝鮮情勢も市場を不安定にしている。政府には慎重に情勢を分析して対応してほしい。

 景気の基調は依然として勢いに乏しく、持続力も未知数と言わざるを得ない。消費を中心とした力強い内需を実現するためには、官民が連携して賃金を継続的に上昇させる環境を整えなければならない。

 アベノミクスが始まって4年半余り。金融緩和や財政出動に頼るだけでは経済再生などおぼつかないと受け止めるべきだ。

 年金制度への信頼が揺らぎ、社会保障費や子どもの教育費などの負担感は増すばかりだ。将来不安が消費拡大の妨げになっているのは間違いない。国民の不安を取り除く構造改革に正面から取り組むしかない。

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