嘆く東芝従業員 1年で年収200万円減も… – エキサイトニュース

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 今年初め、関東地方にある東芝の工場に勤務する関連会社従業員のAさんは、GMPと呼ばれる東芝本社の幹部社員に集まるよう言われた。集まった従業員を前に、幹部社員が一枚のポスターを指さした。オレンジ色の文字で、こう書かれていた。

「いま、東芝を変えていく。7つの心がけ」

 一つずつ、幹部が読みあげていく。だがその中身を見て、Aさんは首をかしげた。

「3.建前をなくそう。本気で伝えよう」「4.議論をするときは全員平等だ」

 この時の気持ちを、Aさんはこう振り返る。

「正直『こいつ何を言ってんの』って感じでした。議論せず、建前ばかりで話すから不正会計が生まれたんじゃないか」

 しわ寄せはいつも現場にくる。不正会計問題を契機に東芝は大規模なリストラを敢行。1万4450人が影響を受け、うち3449人が早期退職に応じた。その結果、昨年3月末時点の東芝グループ全体の従業員数は前年比で約1万5千人減った。

 14日の発表では、7千億円超の巨額損失が明らかに。早期退職者にも動揺が走った。

 東芝OBで「東芝の職場を明るくする会」の鈴木登美夫さん(66)はこう指摘する。

「今回の早期退職は退職金に加え、基本給30~40カ月分が加算されます。強制力はないものの、東芝の企業年金に入るよう言われ、すべてを現金で受け取っているわけではない」

 早期退職は昨年3月まで受け付けたが、当時はさらなる巨額損失など知るよしもない。「企業年金自体がなくなるのでは」と不安を抱く人もいる。もちろん残った社員にもしわ寄せはきている。「緊急対策」で時間外割増率は引き下げ、業務手当やボーナスも減額され、「2016年度の給与の支払総額が、前年から200万円減った。生活ができなくて困っている」(40代・女性社員)など、現役社員も悲鳴をあげている。

 部署によっては終業時間に、いったん退社を記録したうえで、業務を続けるよう指示されるなど、サービス残業を強いられる場面も増えているようだ。

●7割は請負業者

 産業機器などを生産する府中事業所(東京都府中市)では昨春から、毎週水曜夕方が「改善の日」となり、最初のミーティングで管理職社員が、その目的についてこう説明したという。

「不正会計の問題があり、会社が苦しい。経費削減は至上命令。できることを話し合い、実行していかなければならない」

 高校卒業後、18歳から府中事業所で働く上野仁さん(60)は、寂しい思いで説明を聞いた。入社した頃は同僚の7割が正社員だったが、今では3割。代わりに増えたのは請負業者だ。

「低賃金で半年続かない。仕事を教えても、経験を積まずに辞め、業務量も減らない。コストカットばかりでなく、現場の実態にも目を向けてほしい」

 上野さんは早期退職を蹴った。切実な理由があるからだ。

「製造現場の給与は安い。残業代なしなら、50代後半でようやく400万円に届く程度。私の最高年収は459万円だ。基本給が安く設定されているため、たとえ40カ月分の加算金があっても、退職する道は選べない」

 巨額損失発覚のおよそ7カ月前、綱川智社長はいみじくも社内広報誌のインタビューでこう話している。

「30分でもいいので、皆さんの所に出向いて一緒に本音でお話をする。苦労されていることを聞いて、理解するのが(現場と経営の距離を近くするための)最初だと思います」

 失墜した東芝ブランド。足元の従業員にも見放されているようなら、再生などあり得ない。(編集部 澤田晃宏

※AERA 2017年2月27日号





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