『あの会社はこうして潰れた』 見逃し厳禁!さまざまな倒産のサイン【書評】 – ZUU online

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(画像=Webサイトより)

『あの会社はこうして潰れた』
著者:帝国データバンク情報部 藤森 徹
出版社:日本経済新聞出版社
発売日:2017/4/11
価格:918円(紙版、税込み)

2017年7月、日本銀行が発表したレポート「経済・物価情勢の展望」によると、日本の景気は海外経済の成長率の緩やかな高まりや、政府の経済対策、緩和的な金融環境などによって拡大が続くと予想されている。

一方、帝国データバンクによると倒産件数は2017年上半期(1月から6月)で4247件と8年ぶりに前年同期比で増加しているという。倒産が景気に左右されることが多いのは言うまでもないが、他にも色々な要素が絡んでいる。本書では上場企業や創業400年の老舗菓子店など多くの企業の倒産の背景や原因を紹介している。

倒産にはいくつかのパターンがある

著者の藤森氏は1900年創業の民間信用調査会社「帝国データバンク」情報部で25年間企業取材を行ってきた経験を持つ。

本書を読み進めると、倒産にはいろいろな要素が絡んでいるものの、いくつかのパターンが繰り返し登場することに気付く。主なものは「業界の構造変化」、「無理な事業拡大」、「不正」だ。

近年業界の構造の変化を促したのはスマホやインターネットの普及だ。例えばスマホのソーシャルゲームの流行により、既存の老舗ゲームセンターのザ・サードプラネットが倒産した。また、少し汚れがあるB級の反物を、営業員を使って安く販売し、売り上げを伸ばした京都きものプラザは、楽天などのインターネット通販で正規品がB級品より安く売られるようになったことで破たんしている。

無理な事業拡大で破たんというのは一番良く知られた破たん原因かもしれない。本書では宝飾店小売りの三貴のケースなどが紹介されている。同社は「ジュエリーマキ」や「じゅわいよ・くちゅーるマキ」の大規模な多店舗展開を行い、90年代初めには年商1000億円を突破する。しかし、バブル崩壊により宝飾品市場が半分以下に縮小、結果2002年に経営破たんしている。

本書では「不正」を行って破たんした企業がいくつか紹介されている。2013年、三重県の老舗米穀会社の三瀧商事は、大手流通のイオンに納入したおにぎりや弁当の米の産地を偽装したため、信用を失い破たんしている。同社は産地や品質、生産、精米時期を偽装しただけでなく、味噌や米菓などの原料になる加工用米を主食用米として販売していたという。

加工用米は通常細かく砕くなどして主食用として流通しないようになっているが、玄米茶向けの場合はそのままの形で流通されるため、これを主食用米と偽って販売したようだ。

「拾う神」の存在

企業がたとえ破産しても、魅力ある商品は他の企業に引き継がれて生き残るケースもある。

2006年、インフォレスト社から発行されたファッション雑誌『小悪魔ageha』は、夜の世界で働くホステス等をターゲットとし、ピーク時には発行部数40万部という女性向け雑誌としては記録的な人気を誇っていた。「盛髪」という髪を高くセットするスタイルを流行らせたのが同誌だ。

同誌はカリスマ編集者であり自身もホステスの経験を持つ中條寿子氏が人気を支えていたが、インフォレストの親会社が代わり、8カ月に3回も社長が入れ代わる異常な状況に不信感を強め2011年に退社した。同氏は退社理由として「『いつの間にか親会社が変わり、身元がよく分からないおじさんたちが好き勝手なことを言っては、編集者たちが死にものぐるいでつくったものの、利益だけをかすめとっていく。そういう体制にほとほと嫌気がさした』」(本書より引用)と述べている。カリスマを失った雑誌は販売部数が徐々に減少、インフォレストは2014年11月東京地裁へ自己破産の申請をした。

興味深いのはこの後の展開だ。同誌は2014年5月号が最終号となっていたが、熱烈なファンからの強い希望により、2014年12月に「小悪魔agehaメモリアルBook」が限定復刻され1週間で5万部が売れるヒットとなった。現在は主婦の友社から隔月誌として出版されている。優れた商品やサービスは、たとえ企業が破産しても新たな企業のもとで生き続けていくこともあるのだ。

倒産の予兆は「ヒト」・「モノ」・「カネ」の流れにある

本書では本編の他にいくつかのコラムが挿入されている。中でも最後のコラムが非常に実用的だ。帝国データバンクでは企業を分析するためにヒト、モノ、カネについてのチェックシートがあるという。

「ヒト」の項目では管理職の退職のタイミングや大量採用・大量離職などを倒産のサインとしてチェックする。経営者の肩書が多すぎる場合も本業がおろそかになりやすいため、注意を払うというのは驚きの視点だ。

「モノ」は商品のたたき売りの有無などを確認する。倒産が近い場合、商品の換金売りなどをするためだ。「カネ」では特に手形に注意しているという。例えば手形の通し番号が大きい場合は、手形を多く切っていることを予想し、資金繰り悪化の可能性を考えるといった具合だ。

本書で倒産のパターンやサインを知ることは、倒産を避けることに役立つのは勿論、営業先の経営状況を把握して事前に貸し倒れを防いだり、取り込み詐欺を見破ったりするのにも役に立つだろう。(ZUU online編集部)

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