社説/苦境に立つ鉄鋼業界−世界的な構造変化への対応急げ … – 日刊工業新聞

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社説/苦境に立つ鉄鋼業界−世界的な構造変化への対応急げ

世界規模で進む事業環境の変化にどう対応するのか。厳しい局面に立たされている鉄鋼メーカー各社に、答えを示してもらいたい。

鉄鋼各社の2017年3月期決算には、鋼材市況の悪化や原料高の影響が色濃くにじんだ。特に各社を苦しめたのは、産地のトラブルや中国の炭鉱操業規制を発端とする原料炭価格の高騰だ。鋼材を値上げしても追い付かず、利ざやが縮小した。最近も豪州の産地を襲ったサイクロンの影響で一時、スポット価格が大きく跳ね上がった。

ただ、原料価格が乱高下する要因は、供給サイドの問題だけではない。中国や韓国の鉄鋼メーカーの生産能力が高まり、原料の需給構造が変化したことも大きな理由だ。特に粗鋼生産量が世界の半数にまで増えた中国メーカーの稼働状況により、原料価格がぶれやすくなった。

中国の動向は、鋼材市況にも影響を及ぼしている。中国の国営メーカーがこの間、地域の雇用を維持するため高稼働を続けた結果、鋼材の過剰供給が常態化した。世界的な需給バランスの崩れが日本の鉄鋼各社を鋼材価格、原料コストの両面で苦境に追い込んでいる。

これでは安定操業や品質向上への投資がままならないとして、各社は鋼材の値上げに力を入れている。だが、需要家の多くも厳しい競争に直面し、どこまで容認されるかは不透明だ。店売り(一般流通)を手がける問屋の間では、市中価格に浸透しきれない中でも、再三にわたり値上げを通告してくるメーカーへの反発が強まっている。

メーカー各社も収益改善に向け、設備の統廃合や企業再編に取り組んできた。本来は原料に向かない低品位な石炭の活用も進んでいる。それでも安定操業のための資金に事欠くのなら、さらなる業界再編や企業をまたぐ設備集約を、真剣に考えるべきではないか。物流部門を含め、検討の余地はまだあろう。

産業の礎である鉄鋼の安定供給を続けるために、各社は何をすべきか。市場の構造変化を踏まえた業界の未来図を、描き直す必要がある。





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