墓場まで持っていけない不動産。不動産投資家の選択は「民事信託」? – 健美家株式会社

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不動産投資家は、自ら築いた資産を自分の子どもや孫の世代に無事引き継げるのか?資産の円滑な相続について、ますます関心が高まっている。

高齢化率は、2030年に3割を超え、2050年には4割近くに達する。それに伴い、毎年8万人ペースで増えると見られている認知症高齢者の存在がクローズアップされているからだ。

内閣府の高齢社会白書によると、65歳以上の高齢者に占める認知症者数は、2012年に462万人で約7人に1人であったが、2025年には約5人に1人になると推計している。

内閣府・認知症グラブ
出所:内閣府

「成年後見の開始が決まってから物件の売却許可までどの程度の時間を要するものなのか」。

最近の不動産仲介各社からは、そうした気をもむ声が漏れてくる。認知症患者名義の資産・財産を処分するには、家庭裁判所の許可が必要となるからだ。

将来の認知症を想定してなんらかの対策を講じなければ、認知症などより意思能力を喪失した場合、不動産の売買などその者が行う法律行為は無効となってしまう。

もし仮にそうなったとしても、「成年後見制度を活用して資産を動かせるようにすればいい」と考えているアパート経営者がいるかもしれない。

しかし、後見人を立ててしまうと、認知症前のような自由度を得ることはできない。

相続対策などに詳しいスリーナインコンサルティング(東京都中央区)の青山誠社長は、日本賃貸住宅管理協会の東京都支部が8月21日に開催したセミナーで

「後見人は資産が減ることはしない。このため、例えば『主人が元気な頃は孫が来ると10万円のお小遣いを上げていた』や『毎年、家族旅行に行っていたのでその資金がほしい』などといっても後見人がこれを認めることはない」

と説明。後見人制度というのは、その家族全体ではなく、認知症を患い意思能力を失った個人の資産を守るための制度。つまり、後見人が付いてしまうと、家族からみれば資産の使い道の自由度は失われる。

また、後見人制度自体も安心はできない。

「あってはならない後見人による不動産の横領が、事件として表面化することもある。東京家庭裁判所では、何万件という後見人の報告書を受け取るものの、裁判官3人と書記官数人で膨大な書類からすべての不正を見抜くのは至難の業である」(壱岐坂下法律事務所の小倉保志弁護士)。

資産活用の自由度を確保し、資産管理の不正を防ぐために、名義人の意思能力がはっきりしているうちにしっかりと対策を講じる必要があり、その方法として急速に注目が高まっているのが『民事信託』である。

青山社長は、「民事信託のスキームを説明すると、アパートオーナーや地主は必ず導入を希望する」と資産管理面での効果は絶大だと強調する。

民事信託にすると、例えばアパートの所有者の場合、信託契約によって契約行為(管理処分権)を切り離し、第三者に託すことで、認知症などによる資産凍結が避けられる。

このことによって認知症を発症しても受託者が資産管理処分をでき、賃貸借契約の締結や物件の売却など収益物件の経営が止まることがない。

信託契約書には、資産の承継先を指定できるため、相続が発生した場合に納税資金に向けての資産売却がスムーズに実行できる点のメリットも大きい。

信託しない場合のデメリットについては、

?遺言書がないと相続発生後の遺産分割協議が成立するまで所有者が確定しないことで相続財産の処分ができない。

?遺産分割協議が設立しないと納税資金確保のための資産売却ができない

?遺言書があっても相続までの資産凍結は回避できない――

など。信託受益権化すると、委託者と同一であれば受託者の譲渡所得と不動産取得税、贈与税もかからないし、受益者変更の登録免許税は「不動産の戸数×1000円」と格段に安い。

ただ、信託を使う上での注意として、複数の収益物件を持つ場合は、一棟ごとの収益をしっかり把握しておくことだ。

信託不動産の損失は、非信託不動産の利益と損益通算できないし、翌年への繰り越しも不可となっている。赤字物件を信託し、黒字物件を信託していないと黒字物件に所得税が丸々かかってしまうことになる。

また、信託後の家賃は、信託専用口座(信託口)で分別管理しなければならない。

個人口座を使ったり、屋号的な口座を使うと後々裁判になるのでご法度である。銀行では信託口座の開設に積極的である。しかし、前出の青山氏は、

「銀行にこの信託口座は本物か、受託者の相続発生後に資産が凍結することはないのかと確認することが欠かせない。支店長決裁で作成される口座はニセモノ。信託口座は本店で確認すること」

とアドバイスする。信託口座は性質上、資金を集めやすいことから信託口座に見せかけたものを提案するケースがあるためだといい、実際に地銀でその例があったと指摘する。

地道にコツコツと資産を増やしても墓場まで不動産を持っていくことはできない。資産を築いたら、その後は管理・持続性に力を入れて資産を子々孫々に有効に活用してもらえる地ならしも不動産投資家にとって重要なことである。

健美家編集部







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