Jリート市場は年間6%上昇。物件取得額は過去3番目の高水準-不動産クォータリー・レビュー2016年第4四半期 – 株式会社ニッセイ基礎研究所 (登録)

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10-12月期のGDP成長率は4四半期連続のプラス成長となり、住宅市場は分譲マンションを除いて堅調に推移している。東京のオフィス市場は空室率が低位で推移するなかAクラスビルの賃料は天井感が強まっている。2016年の訪日外国人客数は順調に増加したが、宿泊者数や旅行消費額は伸び悩んだ。J-REIT市場は上昇し物件取得額は過去3番目の高水準となった。

1――経済動向と住宅市場

2016年10-12月期の実質GDP成長率(1次速報)は前期比年率1.0%となった。4四半期連続で潜在成長率を上回る伸びを示し安定した経済環境が続く。経済産業省によると、10-12月期の鉱工業生産指数は前期比2.0%と3期連続で上昇し、消費税引き上げを前に駆け込み需要のあった2014年1-3月期以来の高い伸びとなった[図表1]。

住宅市場は分譲マンションを除いて堅調に推移している。2016年の新設住宅着工戸数は6.4%増加の約96.7万戸となった。このうち、全体の4割超を占める貸家が+10.5%と高い伸びを示し5年連続で増加した[図表2]。

一方、2016年の首都圏のマンション新規発売戸数は▲11.6%の約3.5万戸となり3年連続で減少した。エリア別では都区部と都下が2割以上落ち込んだ。1戸当たりの平均価格は5,490万円(▲0.5%)と下落に転じたが、㎡単価は79.3万円(1.8%)と4年連続で上昇した。また、2016年の首都圏中古マンションの成約件数は約3.7万件(前年比+6.9%)となり過去最高を更新するとともに新築マンション販売戸数を初めて上回った。

今後の住宅市場は、足もと上昇傾向にある住宅ローン金利やアパートローンに対する監視強化、中古住宅市場の活性化政策(インスペクション制度の普及など)、新築タワーマンションの固定資産税の変更などが注目される。

鉱工業生産(前期比)、新設住宅着工戸数(全国、年間)

2――地価動向

都市部における再開発事業の進展などから地価の上昇が続くが、先行して上昇してきた東京圏では一部に鈍化の気配も見られる。国土交通省の「地価LOOKレポート(平成28年第3四半期)」によると、東京圏は上昇が「39」から「33」へ減少し横ばいが増加した。一方、大阪圏・名古屋圏・地方圏における上昇地区数は前回と変わらず、下落地区数は9期連続でゼロとなった[図表3]。
全国の地価上昇・下落地域の推移

3――不動産サブセクターの動向

1|オフィス
東京のオフィス市場は空室率が低位で推移するなか、年率4~5%の賃料上昇が継続している。三鬼商事によると12月の都心5区空室率は前月比0.14%低下の3.61%、平均募集賃料は前年比4.8%上昇した。他の主要都市ではオフィスの新規供給が限定的であるため東京を上回るペースで空室率の改善が進む[図表4]。

一方、成約賃料データに基づくオフィスレント・インデックス(第4四半期)は、東京Aクラスビルが前期比ほぼ横ばいの33,785円(+0.2%)となった。高額物件では2015年第3四半期をピークに賃料の天井感が強まっており、テナント誘致に時間のかかるケースも増えている。森ビルの「東京23区オフィスニーズに関する調査」によると、移転理由として「業容・人員拡大」や「1フロア面積が大きいビル」が上位となるなか、2011年以降一貫して低下してきた「賃料の安いビル」に対するニーズが増えて順位を上げている。

2|賃貸マンション
東京23区のマンション賃料は緩やかに上昇している。2016年第3四半期は前期比で小幅に下落したが、前年比ではシングルタイプが+2.1%、コンパクトタイプが+0.3%、ファミリータイプが+0.5%となった。また、高級賃貸マンションについても空室率の低下に伴い賃料が上昇し、12月は前年比+2.3%となった[図表5]。
高級賃貸マンションの賃料と空室率
3|商業施設・ホテル・物流施設
商業動態統計によると、2016年の小売販売額(既存店ベース)は百貨店が▲2.9%、スーパーが+0.1%、コンビニエンスストアが+0.5%となった。衣料品の販売不振やインバウンド消費の一巡で百貨店がマイナスとなる一方、スーパー、コンビニはプラスを維持している。

2016年の全国61都市のホテル客室稼働率は年間を通じて高稼動を維持したものの、前年を下回る月も度々出現した[図表6]。2016年の訪日外国人客数は前年比22%増加の約2,403万人となり4年連続で過去最高を更新した[図表7]。クルーズ船寄港数の増加や訪日プロモーション効果、ビザ緩和などを背景に、主要20市場のうちロシアを除く19市場で過去最高を記録した。一方、外国人の延べ宿泊者数や旅行消費額は訪日客数の増加率と比べて伸び悩んだ。2016年の外国人の延べ宿泊者数は前年比8.5%増加、旅行消費額は前年比8%増加の約3.7兆円、1人当たり支出は▲11%減少の約15.6万円で中国の減少(前年比▲18%)が目立つ結果となった。今後のホテル市場は、円安や景気回復に伴う日本人を含めた宿泊者数の動向、民泊に関する法整備、ホテルの新規開発の影響などが注目される。

首都圏大型物流施設の第4四半期空室率は前期比▲2.3%低下の6.8%、近畿圏は前期比4.5%上昇の11.4%となった[図表8]。

大規模な先進的物流施設への需要は旺盛だが、新規供給の集中するエリアではテナントの選択肢が広がるため、首都圏では圏央道エリアで、近畿圏では湾岸部で空室率が高止まりする見込みである。

ホテル客室稼働率の暦年月次ベース(全国)、訪日外国人客数(年間)、大型物流施設の空室率

4――J-REIT市場(不動産投信)

第4四半期の東証REIT指数は、「トランプ・ラリー」に沸く株式市場に対する出遅れ感などから9月末比1.7%上昇した。

2016年のJ-REIT市場を振り返ると、東証REIT指数の騰落率は+6.2%となり2年ぶりに反発した[図表9]。英国のEU離脱決定や米国のトランプ新大統領誕生など海外発のイベントに翻弄されたものの、国内の不動産市況が底堅く推移し業績好調であったことがプラスに働いた。新規上場7社と物件取得額約1.7兆円はいずれも昨年実績を上回った。特に、物件取得は過去3番目の高水準で、国内の不動産取引が減少傾向にあるなか、上場REITの高い物件取得力を示す1年となった。資産タイプ別に見ると、物流施設やホテルが大きく伸びた一方、運用資産の約8割を占めるオフィス・住宅・商業は減少した。エリア別では都心5区の比率が前年の28%から23%へ低下した。不動産の取引利回りが低下するなか、REITもより高い利回りを求めてコアアセットからサブアセットへ、都心部から周辺エリアへと投資対象を拡大している。

2016年のJ-REIT市場(まとめ)





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