なぜ、MICE開催は被災復興に効果的なのか?/「風評被害の防止」と「地域への経済効果」がカギ – 訪日ラボ

Home » 03消費 » なぜ、MICE開催は被災復興に効果的なのか?/「風評被害の防止」と「地域への経済効果」がカギ – 訪日ラボ
03消費, 消費支出 コメントはまだありません



2018年9月、大阪では台風、北海道では地震による被害でインバウンド旅行者は宿泊をキャンセル、MICEイベントも中止や延期になり経済的に大きなダメージを受けました。

MICEの「人が集う」という性質上、台風や地震などの自然災害による影響は避けられません。一方で、このMICEが被災した地域にとって、復興支援のエンジンとして活用されていることをご存知でしょうか。

2011年の東日本大震災と福島原発事故では、インターネットを中心に風評被害を含むさまざまな情報が飛び交いました。そこで、国際会議参加者にインタビューを行い、日本の“今”を世界中に正しく伝える取り組みが行われました。また、2015年には、「防災」をテーマにした国連会議が開催され、世界から仙台、そして東北の復興が注目されました。

今回は、復興におけるMICEが地域に与える影響をご説明します。

いまさら聞けないMICEって何?

MICEとは、企業などの会議(Meeting)、企業などが行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会などが行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字をとったビジネスイベントの総称です。

▲MICEとは
▲MICEとは

観光庁は今年、日本国内で開催された国際MICE全体による経済波及効果を初めて算出し、総消費額は約5,384億円、経済波及効果は約1兆590億円と発表しました。また、経済活動により生じた雇用創出効果は、約96,000人分、税収効果は約820億円と推計され注目を浴びています。

多くの外国人が集まる国際会議の特徴やそこに参加する外国人の特徴については、過去の記事をご参照ください。

Favicon訪日ラボ

 

観光庁 MICEの経済効果1.1兆円と発表!波及効果で最も金額が大きい「国際会議」をデータから徹底分析:特徴や参加する外国人とは?

MICEという言葉をご存知でしょうか。MICEとは、企業などの会議(Meeting)、企業などが行う報奨・研修旅行(IncentiveTravel)、国際機関・団体、学会などが行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字をとったビジネスイベントの総称です。今年5月に観光庁が2016年度国際MICEの経済効果が1.1兆円と発表して注目されています。その内訳の中で国際会議による金額が約65%(約6,789億円)と大半を占め、ま…

3つのMICEの主要な効果

MICEは、企業・産業活動や研究・学会活動等と関連している場合が多いため、一般的な観光とは異なる部分が多いです。観光振興のみで捉えるのではなく、MICEの「人が集まる」という直接的な効果はもちろん、人の集積や交流から派生する付加価値や大局的な意義について認識を高める必要があります。(観光庁ウェブサイトより引用)

MICEの主要な効果その①:ビジネス・イノベーションの機会の創造

MICE開催を通じて世界から企業や学会の主要メンバーが日本に集うことは、日本の関係者と海外の関係者のネットワークを構築し、新しいビジネスやイノベーションの機会を呼び込むことにつながります。

MICEの主要な効果その②:地域への経済効果

MICE開催を通じた主催者、参加者、出展者等の「消費支出」や関連の「事業支出」は、MICE開催地域を中心に大きな経済波及効果を生み出します。

MICEは会議開催、宿泊、飲食、観光等の経済・消費活動の裾野が広く、また滞在期間が比較的長いと言われており、一般的な観光客以上に周辺地域への経済効果を生み出すことが期待されます。

MICEの主要な効果その③:国・都市の競争力向上

国際会議等のMICE開催を通じた国際・国内相互の人や情報の流通、ネットワークの構築、集客力などはビジネスや研究環境の向上につながり、都市の競争力、ひいては、国の競争力向上につながります。

海外の多くの国・都市が、国・都市の経済戦略の中で、その達成手段の一つとしてMICEを位置付け、戦略分野/成長分野における産業振興、イノベーション創出のためのツールとして国際会議や見本市を活用しており、日本においても、MICEを国・都市競争力向上のツールとして認識し、活用することが重要です。

復興におけるMICEの活用事例

ここからは、MICEが持つさまざまな特徴の内、復興に活用された事例をご紹介します。

復興におけるMICEの活用事例その①:世界中からの参加者に正確な情報を伝える(風評被害を防ぐ)

2011年7月に京都で開催予定であった国際血栓止血学会(世界中の血液専門の医師が約6,000名集まる国際医学会)は、放射能の影響で日本開催が危うい状況でした。そんな中、国際会議主催者は、第三者機関に中立的な放射能リスク調査を依頼し、京都開催を決断する上で必要な情報を収集し、予定どおり開催に至りました。

国際会議参加者へのインタビュー内容

  • 日本に来るまで、放射能の安全性について心配していたかどうか
  • 実際に日本に来て放射能の安全レベルについてどう感じたか

回答した参加者の声

  • 日本に来るまでは正直、心配だった
  • 京都での開催には、全く影響はない
  • 母国に帰ったら、日本は安全だと私が伝えるよ
  • 我々は、日本の復興を心から応援している

国際会議参加者より励ましの温かいメッセージがありました。このメッセージは、日本政府観光局のウェブサイトでも公開され、世界中に「日本の“いま”」を伝えました。

▲キーオピニオンリーダーである医師から日本の現状を伝えてもらった
▲キーオピニオンリーダーである医師から日本の現状を伝えてもらった

その年、国際血栓止血学会組織委員会は、特に優れた取り組みを実施した会議の主催者に送られるアワードを日本発で受賞しました。

【受賞した国際会議】

  • 会 議 名:国際血栓止血学会(ISTH2011)
  • 開催期日:2011年7月23日-28日
  • 開催場所:国立京都国際会館
  • 参加人数: 6,000名(海外4,000名、国内2,000名)・約80カ国  

復興におけるMICEの活用事例その②:デスティネーション(開催意義)と経済効果

国連防災世界会議をご存知でしょうか。国際連合主催で10年ごとに開催し、国際的な防災戦略と各国が取り組むべき防災や減災対策の指針について話し合う会議です。

1994年に横浜市で初の国連防災世界会議が開催され、2005年に神戸、2015年に仙台で開催されました。なぜ、神戸と仙台で開催されたのか、みなさんはすでにお気づきではないでしょうか。両都市は甚大な震災を経験したことで、防災をテーマにしたMICE開催地のデスティネーション(その土地で開催する意義)を得たからです。

▲関連事業を含め、延べ15万人以上が参加した日本で開催された史上最大級の国連国際会議
▲関連事業を含め、延べ15万人以上が参加した日本で開催された史上最大級の国連国際会議

【国際会議情報】

  • 会 議 名:第3回国連防災世界会議
  • 開催期日:2015年3月14日-18日
  • 開催場所:仙台国際センター他、仙台、青森、岩手、福島
  • 参加人数: 約6,500名(国連に加盟する187ヶ国が出席、関連イベントには延べ15万人が参加)  

2015年仙台市は、国連防災世界会議開催の影響で、都市別国際会議の開催件数が東京、福岡市に続き、221件で第3位となり、前年に比べて件数を大幅に伸ばしました。

▲国際会議の開催件数(2012年~2016年)JNTO発表
▲国際会議の開催件数(2012年~2016年)JNTO発表

また、国連防災世界会議開催による経済波及効果は、17億2,000万円と推計されます。

▲資料:七十七銀行 調査月報 2015年8月
▲資料:七十七銀行 調査月報 2015年8月

2014年にサッカーチームのベガルタ仙台が宮城県に与えた経済効果は21億円(宮城県推計値:総合効果)と推計されており、約8割に相当します。

ベガルタ仙台のシーズンは9カ月間であり、国連防災会議の開催期間は、5日間でした。単純比較には注意を要しますが、MICE開催による経済波及効果の大きさが分かる数字となっています。



まとめ

  • MICE参加者を通じて、世界に被災地の「正しい情報」を伝えることができる。
  • 大型のMICE誘致は、短期間に「地域へ莫大な経済効果」を生む。



コメントを残す