アマゾン従業員年収、フェイスブックに遠く及ばず – ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

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 米アマゾン・ドット・コムが先週、全従業員の年収中央値が2万8446ドル(約306万円)であることを公表し、倉庫などで働くブルーカラー層が従業員の大半を占めていることが明らかになった。

 この数字は米菓子大手ハーシーとほぼ同じ水準で、米住宅用品小売り大手ホーム・デポよりもやや高い。一方、委任状勧誘書類によると年収中央値が24万0430ドルに上る フェイスブック には遠く及ばない額だ。

 アマゾンは、フェイスブックやアップル、アルファベット傘下のグーグルなどシリコンバレーを拠点にする大手IT(情報技術)企業と比較されることが多いものの、巨大な物流システムを運営している点が異なる。



 約50万人の従業員の大半は、コンピューターのコーディング作業をして10万ドル超の年収を稼いでいるわけではない。トラックから荷を下ろし、フォークリフトを操作し、あるいは注文された商品を集めるために何キロも歩く。年収は他社の倉庫従業員とほぼ同じ額だ。

 アマゾンはグーグルと宅配・航空貨物大手の米UPS、そして米小売り大手ウォルマートの3社が合併したような企業だと言う専門家もいる。

 「アマゾンにはフルフィルメントセンター(商品の保管・配送拠点)で働く多数の『歩兵』がいるが、これはIT業界の他の有名企業にはないことだ」。投資会社 パイパー・ジャフレー のシニアリサーチアナリスト、マイケル・オルソン氏はこう語る。「これがアマゾンと他のハイテク銘柄の違いを表している」

大手企業の年収中央値

 金融危機後に導入された金融規制改革法(ドッド・フランク法)に基づき、今年は大手上場企業330社以上が初めて年収中央値を公表した。これまで公表された企業では、バイオテク企業インサイトが25万3015ドルで最も高い。一方でパートタイム従業員を多く抱える小売業や、賃金の低い国に多くの従業員を抱える製造業では、1万ドルに満たない企業もあった。

 アマゾンは S&P500種株価指数ではテクノロジー銘柄ではなく、小売業とされている。一方で金融情報調査会社ファクトセットによれば、アマゾンの今年の予想株価収益率(PER)は184倍で、フェイスブックやアルファベットをはるかに上回っている。

「ずばぬけた優位性」でも賃金低く

 アマゾンは小売企業として始まったものの、テクノロジーは常にその中核に据えられていた。ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が1994年にアマゾンを創業した当初は書籍販売業者で、誕生したばかりのインターネットを活用し、遠くに住む消費者も取り込んでいった。

 現在のアマゾンは世界各地への商品配送、映画のオンライン配信、企業のデジタルファイルをサーバーに保管する事業、そして顧客への商品推奨に至るまで、あらゆることにソフトウエアを利用している。数年かけて機械学習や人工知能(AI)を改良し続けた結果、需要を予測し、不正行為を検知し、顧客に何を勧めるべきかを判断できるようになった。

 だが175カ所以上あるフルフィルメントセンターなどで商品を集めて箱に詰め、配送する従業員や、世界各地に35カ所以上ある「ソーティングセンター」(仕分け拠点)で働く従業員は、シアトル本社などにつとめる4万5000人余りのホワイトカラー職とは対照的だ。

 年収中央値は上場企業向けに設けられた新たなルールに基づき公表された。企業は公表の仕方にある程度の裁量が認められている。年収中央値は全従業員の年収を順に並べた際の中央に当たる数値だ。

 年収中央値2万8466ドルは、時給に換算すると約13.68ドルに相当する。専門家によれば、これは米国の一般的な最前線の倉庫で働く従業員の時給とほぼ同額だ。中央値の基になる数字は50カ国以上で働く全ての従業員が対象で、あらゆる事業分野のフルタイムおよびパートタイム従業員が含まれている。

 アマゾンの広報担当者は従業員について、「フルフィルメントセンターに勤務する従業員からカスタマーサービス担当者、さらにソフトウエアの技術者やプロダクトマネジャーに至るまで多岐にわたる」とした。米国内のフルフィルメントセンターに勤務するフルタイムの従業員には、現金・株式・インセンティブ型ボーナスを含めて平均で時給15ドル以上を支払っているという。

 一方、左派寄りシンクタンクとして知られる経済政策研究所(EPI)のエコノミスト、ベン・ジッペラー氏は、アマゾンの「市場でのずばぬけた優位性」が倉庫で働く平均的な従業員の賃金上昇につながっているようには見えないと指摘する。

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