自動車名門、世代交代の日 VWとフォード – 日本経済新聞

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 世界の名門自動車メーカーで「世代交代」を印象づける動きが相次いだ。独フォルクスワーゲン(VW)では3日、名物オーナーの保有株売却が明らかになった。米国では、新興のテスラが時価総額でフォード・モーターを抜いた。古びた経営体制にも事業戦略にも転換期が訪れている。

 【フランクフルト=深尾幸生】VWの経営に長く影響を及ぼしてきたフェルディナント・ピエヒ元監査役会長(79)がまた一歩表舞台から退く。VWの議決権株の52.2%を保有する独ポルシェSEは3日、ピエヒ氏がポルシェSE株を売却することで合意したと発表した。排ガス不正問題を受け経営体質の刷新をめざすVWにとって一つの転換点となりそうだ。

 ピエヒ氏は「ビートル」を開発したフェルディナント・ポルシェ氏の孫にあたる。1993年にVWの社長に就き、2015年の会長退任まで最高実力者として君臨した。

 各国の独禁当局などの承認を得た後にポルシェSE株をオーナー一族のピエヒ家、ポルシェ家の他のメンバーに売却する。独メディアによるとピエヒ氏が保有するのはポルシェSE株の14.7%で、その価値は11億5千万ユーロ(約1360億円)にのぼる。私的な財団を通じてポルシェSE株の一部は持ち続けるが、経営への影響力が小さくなるのは間違いなさそうだ。

 ピエヒ氏は15年4月にマルティン・ヴィンターコーン社長(当時)との権力闘争で敗れ、VW会長を辞任した。ただその後もポルシェSE監査役にとどまり、経営に影響を与えてきたとされる。

 VWの排ガス不正問題をめぐってピエヒ氏は会社側と対立している。独メディアはピエヒ氏が検察の事情聴取に対し、「ヴィンターコーン前社長など経営陣が早い段階で不正を知っていた」と述べたと報じた。VWは一連の報道を否定し、ピエヒ氏への対抗手段も検討すると発表していた。

 テスラの時価総額(3日の終値ベース)が486億ドル(約5兆4千億円)となり、ビッグスリー(米自動車大手3社)の一角を占めるフォードを約30億ドル上回った。テスラの1~3月期の出荷台数は過去最高を記録。一方、フォードは販売が停滞気味。時価総額の逆転は勢いの違いを映している。ただ企業規模では大きな差があり、期待先行でテスラの株価が上昇している側面もある。

 テスラは2003年の設立。それ以降、電気自動車(EV)市場を切り開き、1~3月期の出荷台数は前年同期比69%増の2万5千台以上。急成長を続けている。

 3月に中国ネット大手騰訊控股(テンセント)の出資などで3千億円以上を調達し、EVの新モデル量産に向けた大型の資金調達を実現した。高い成長期待から株価も過去最高を更新している。

 テスラを率いる最高経営責任者(CEO)は米国有数の起業家であるイーロン・マスク氏。テスラとは別に宇宙開発ベンチャーを経営し、大胆な構想力と実行力で知られている。ビッグスリーにはいないタイプの経営者だ。

 株式市場から冷たい評価を下されたフォードは「自動車王」のヘンリー・フォードが創業した名門中の名門。リーマン・ショック後の経営危機もビッグスリーで唯一、法的整理を免れた。しかし、EVなどの次世代エコカーや自動運転技術の開発で世界の先頭集団を走っているわけではない。

 3日にまとまったフォードの3月の米新車販売台数は前年同月比7.2%減と大幅な前年割れ。同社株は失望売りに見舞われ、テスラに時価総額の逆転を許した。





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