おおきに!大阪に押し寄せるインバウンド、地盤沈下から反転攻勢へ – ブルームバーグ

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03消費, 全国百貨店売上高 コメントはまだありません



心斎橋や道頓堀など大阪の繁華街ミナミに中国を中心とするアジアからの観光客が押し寄せ、たこ焼きを片手に町歩きを楽しんでいる。人口流出や大手企業の本社機能移転など地盤沈下を続けてきた大阪が、インバウンド(訪日外国人客)をきっかけに復権の兆しをみせている。

  マカオから来た漠長盛さん(67)は、観光名所となっている道頓堀の江崎グリコの大看板の前で記念写真を撮っていた。大阪は「食事、買い物、文化が好き」で、息子とともに何度も訪れている。息子の李国祥さん(42)は「東京は忙し過ぎる。大阪の方がリラックスできる」と話す。

  大阪観光局によると、2016年に大阪府を訪れた外国人観光客は940万人と3年で3.6倍に増加し、2.3倍だった全国を上回った。今年は6月までで531万人と初の年間1000万人が視野に入っており、内訳は中国175万人、韓国121万人、台湾72万人、香港37万人だった。格安航空会社(LCC)便の増加で、関西国際空港のアジアからの入国者数は成田空港を上回り、国内で首位。

  訪日客を引きつけるのはまず安さにある。三菱総合研究所の劉瀟瀟研究員は「大阪はLCCで中国各都市から往復約3万円で行けて、食べ物も安くておいしい」と評価する。日帰りで世界遺産のある京都や奈良に行け、「見るところ、楽しいところが多い」という利点もある。何より、大阪はサービス精神が旺盛で「観光客を歓迎している。それが口コミで拡散していく」という好循環が働いていると述べた。

  心斎橋、道頓堀、難波千日前などミナミの町並みも人気だ。心斎橋商店街振興組合の前田雅久事務局長(65)は「南に行くほど昔の大阪の良さが残っており、ディズニーランドのように狭い範囲をちょっと歩くだけで次から次に世界が変わる面白さがある」と言う。それも「演出でも何でもない、歴史に裏付けられた全部ほんまもんで、期待を裏切らない」と語る。

  気軽に食べ歩きができることも魅力。前田氏は「店員とのやり取りも気さくにできるし、目の前で作っている食べ物も含め、全てがエンターテインメントになっている」と説明する。観光名所の通天閣や二度づけ禁止の串揚げで知られる新世界が典型だが、「非常にゴテゴテして雑多で、国内旅行で敬遠された時代もあるが、それが今再認識されている」と述べた。

起業も増加

  日本銀行の衛藤公洋大阪支店長はインバウンド消費をきっかけに関西経済がもう一度元気になり始めていると指摘する。「人口減少社会では小売りや外食など消費産業は全体としてパイが小さくなるが、インバウンドが来て消費をしてくれるので、縮小一辺倒だったところにもう一度、成長の機会が出てきている」と語る。

  消費活性化は地域全体に及んでおり、日銀が10日発表した10月の地域経済報告では、インバウンド好調を一因に近畿の景気判断を08年1月以来9年9カ月ぶりに「緩やかに拡大している」に引き上げた。日銀が公表した8月の関西地域の百貨店免税売上高は前年比倍増となり、J・フロントリテイリングの大丸心斎橋店の3ー8月の免税売上高は同56.1%増の110億円と売上高の3割を占める。

  地価にも好影響を与え、国土交通省によると、17年の大阪府の基準地価は5.0%上昇した。三菱UFJ信託銀行は8月31日付のリポートで「インバウンドの恩恵が影響していると考えられる」と分析している。

  起業も増えている。厚生労働省の「雇用保険事業年報」によると、今年1-8月の新規適用事業所数(起業数)は前年同期比25.9%増の9697件と、全国(21.4%増)と東京(14.8%増)を上回る高い伸びを見せた。

  日銀の衛藤支店長は「インバウンド関連の小売りや外食が増えているのではないか」とした上で、「人口減少で先細るだけだったら起こらなかったことが起こり始めている」と語った。

司令塔

  観光振興の司令塔である大阪観光局の溝畑宏理事長(57)は旧自治省(現総務省)出身で元観光庁長官。15年4月に理事長となった。京都府出身の同氏にとって関西に戻ってきたのは36年ぶり。「当時、大阪はまぶしい存在だったが、30年後に経済指標を見たら地方都市と変わらなくなっていた。突き抜けた感覚や創意工夫、突破力、そういうところが大阪の魅力だったのに、知らぬ間に東京のまねをし始めていた」と語る。

  実際、大阪の地盤沈下は進んでいた。帝国データバンク大阪支社の4月の発表によると、07年ー16年の10年間で大阪府の企業は806社の転出超過となった。16年の転出件数は210件で、転出先は東京都が66件で最多。1982年以降35年連続の転出超過という不名誉な記録も更新した。府によれば人口は16年まで6年連続で減少している。

  その大阪が今、インバウンドをきっかけにもう一度輝きを取り戻そうとしている。2025年国際博覧会(万博)誘致も目指しており、カジノを含めた統合型リゾート(IR)の有力な候補地でもある。

  溝畑氏は「東京一極集中に負けない二極のうちの一極をつくっていこうという勢いがある」と言う。江戸時代の上方文化から400年培われた人懐っこく包容力のあるコミュニケーション能力と文化の蓄積で、大阪は「圧倒的な力」を持っている。目を向けるべきは「東京ではなく世界だ」と述べた。



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