日系ブランドが多くを占める台湾の輸入車販売台数が昨年過去最高の17万397台を記録 – Goo-net自動車流通

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東立物流股份有限公司 洪辰冬董事長

東立物流股份有限公司 洪辰冬董事長

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 台湾における2016年通年での新車販売台数(ナンバープレート交付ベース)は43万9,629台(前年比4.5%増)で、11年来の最多を更新した。メーカー別ではトヨタが13万9,495台(前年比5.3%増)で、15年連続の首位。2位が三菱で4万6,398台(10.1%増)、3位は日産で4万4,723台(3.0%増)、4位ホンダで2万7,639台(0.1%減)と圧倒的に日本勢が上位を占めている。

 新車販売のうち輸入車が占める割合は38.8%の17万397台(前年比10.2%増)で台数としては過去最高を記録した。(別表1参照)

 台湾の新車市場では16年に入って、「車両旧換新法」が施行された。この法律は新車を購入することを前提にこれまで所有していた車両を廃車もしくは輸出した場合、新車購入時に本来支払うべき貨物税(車両本体価格の25%、“貨物”と評されているが乗用車にも賦課される)から最大5万NT㌦(邦貨換算=約18万円)を減額するもの。これによって新車販売が促進され、輸入車も過去最高を記録している。

 また近年、08年のリーマンショックと11年の東日本大震災によって、日本国内での生産が著しく低下した年を除いて、日本から台湾への輸入車台数は増加の傾向を示している。この要因としては、台湾のユーザーニーズが国産車であるCセグメント(セダン系)から輸入車のDセグメント(SUV系)に移行していることや、富裕層が拡大し高級輸入車を求める傾向にあることが挙げられる。

 一方、自動車の荷扱いが最も多い台北港の存在も見逃せない要因だ。06年以前は基隆港をはじめ台中港や世界5大貨物取扱港である高雄港に分散されていた。地理的な条件から言えば、一大商圏である台北エリアに近い基隆港に集中するはずだが、同港は三方を山で囲まれ背後地が狭いなど、発展が制限されていた。こうしたことから基隆港の補助港として、総面積が基隆港の8倍にも及ぶ、より台北エリアに隣接している台北港が新たに開港され、輸入車の拡大を側面から促進したと言える。

 この地で昨年台湾に輸入された車両17万397台のうち、7割にあたる12万343台の取り扱い実績を誇るのが、台湾最大の完成車物流会社の東立物流股份有限公司だ。今回、同社の代表者である洪辰冬董事長に話を聞いた。

【営業開始から僅か10年で年間17万台を扱うまでに急成長を遂げる】

 同氏はもともと基隆港で日本の船会社数社の代理店を営んでいたが、02年に大手物流会社からの呼び掛けで同社を設立、董事長に就任した。4年にも及ぶ準備期間を経て、輸入車の荷扱いが本格的に開始されたのが06年。その年は輸入車のみで1万6606台に過ぎなかったが、その後は着実に上積みを図り、10年以降は新たにトヨタの中近東向け輸出車の取り扱いも開始され拡大は加速、僅か10年で日系ブランドを主に年間で輸入車12万台(別表2参照)、輸出車5万台の合計17万台(16年実績)を扱うなど飛躍的な成長を遂げている。

 まず、この急成長の要因を尋ねたところ、「本来、完成車物流会社が提供するサービスは、船が入港したのち、荷役作業から通関、保管までが一般的であったが、我々は輸入者のニーズをリサーチした上で、レトロフィット、輸入検査、またディーラーに配送する前の納車整備(PDI)、各種装備品の装着、さらにナンバープレートライセンスを取得し、登録まで可能にした。そして国内輸送に至るまで完成車の一貫した物流サービスを積極的に展開した。このように付加価値を高めていったことが受け入れられ、拡大に繋がった」と語った。

【輸入車拡大の背景にはSUVの好調な販売が】

 一方近年、台湾の新車市場で輸入車の需要が高まっていることについては、「台湾の新車マーケットの流れは大きく変わってきている」とし、「日本を含め世界的な傾向になりつつあるが、台湾も最近は乗用車の人気がなくなり、SUVが売れるようになった」という。スバルのフォレスターやマツダのCX-5などの人気が急上昇し、ベンツのGクラスも前年から好調だという。SUVの好調な販売に押され、逆にアルティスは前年同月比24.1%、ヤリスは32.6%それぞれ減少している。このように好調なSUVの多くが輸入車で、減少のセダン系の多くが国産車という図式であることが、輸入車拡大の要因の一つであるという。

 また先述のCX-5やモデルチェンジしたアクセラを投入し好調なマツダは、昨年7月に台湾での委託生産を終了している。この2車種の他に、デミオ、アテンザ、CX-3、ロードスターを販売しているが、これらが全て、輸入車であることも起因しているとのことだ。

 今後の予測として同氏は、「今年トヨタがC‐HR(輸入車)をホンダが新型CR-V(国産車)を投入するなど、クロスオーバーSUVがCセグメントのカローラ、シビック、セントラにどう影響するかが、しっかり見極めていく必要がある」と語った。

【車両旧換新法の導入により中古車輸出に期待も実績はゼロ】

 昨年、台湾の新車市場が好調だった背景には「車両旧換新法」の導入がある。この対象車両はおよそ3万台とのこと。この法律では、下取り車はすべて解体もしくは輸出しなければならないことが前提なので、必然的に解体もしくは輸出も3万台上積された計算になるが、実際には、これによる輸出の発生はなく、すべて解体に回ってしまった。この件について、同氏は「我々もこれによって、中古車輸出が活性化し、台北港での取扱量が拡大すると期待していた」とし、「15年には、日本の中古車輸出関連を視察し、体制を整えようとしたが、実際に蓋を開けてみたところ、輸出は1台も発生しなかった」とのことで、その要因については、「台湾では新車に対する税金の賦課が重く、貨物税だけで25%、また輸入車に関しては関税が17.5%で、単純にこれだけでも42.5%となり、新車価格自体がかなり高額になってしまう」とし、「結局、日本車の左ハンドルというアドバンテージがあったところで、5万NT㌦程度では世界的な中古車輸出市場の中では、とても価格競争力はなかったからだ」と解説してくれた。現在、台湾からの中古車輸出は年間で3000台強は存在するが、ほぼ経年車の低価格車で、仕向け国も8割がナイジェリアで、残り2割も西アフリカの左ハンドルの国。ただ諦めることなく、新車販売における税制の見直しについて、今後も継続的に政府に働き掛けをしていきたいとしている。

【中国の次世代自動車の行方が世界の潮流に】

 今後については、日系ブランドで構築した完成車物流のノウハウを、さらに国内マーケットで育成させていくのは勿論のこと、やはり巨大マーケットである中国市場をはじめ、将来的にはアジア全域に展開していきたいと語ってくれた。

 同社はすでに広州汽車(中国自動車メーカー)の関連企業と合弁企業を設立し、PDIやアクセサリーの取り付けなどで中国へ進出しているほか、インド、タイにも拠点を置き、部品輸送に必要なスチールラックの製造まで手掛けている。

 最後に、今、最も気になっていることとして、中国市場における次世代自動車の行方を挙げた。同氏は電気自動車とみているが、それが必ずや世界の潮流となると言う。また「自動運転車がどのタイミングで普及するのか、自動車が誕生してから250年、これまでにないような大きな転換期に差し掛かっている中、これらをしっかりと先読みし、万全の備えをしなければならない」と力強く語った。

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