賃上げ要請6年目 「慣例化」に経済界嫌悪感も – 毎日新聞

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菅官房長官との会合で、あいさつする経団連の中西宏明会長=東京都千代田区で19日午前、共同



 政府が経済界に賃上げを呼び掛ける官製春闘は6年目を迎える。好調な企業業績を背景に、は前向きに賃上げを検討する姿勢だが、政府要請の「慣例化」には嫌悪感も漂う。一方、連合はベースアップ(ベア)の上げ幅から、給与の具体的な金額を重視する方針に変更しようとしており、2019年は春闘が変わる転換点になる可能性もある。

 菅義偉官房長官は19日、東京都内で開かれた大企業トップとの会合で、19年春闘での「一層の努力」を要請した。その瞬間、苦笑いを浮かべた経団連の中西宏明会長は会合後、記者団に「日本の賃金はずいぶん低く抑え続けられてきたという自覚を持っている。(政府に)要求されたから、どうこうという話ではない」と述べ、経済界が主体的に賃上げするべきだとの立場を強調した。

 背景にあるのは、好調な企業業績だ。財務省が9月に発表した法人企業統計調査(金融・保険業を除く)では17年度の経常利益は前年度比11・4%増の83・6兆円、企業の内部留保に当たる利益剰余金も同9・9%増の約446兆円でいずれも過去最高を更新した。一方、利益を人件費に回した割合を示す労働分配率は低下し、1974年度以来43年ぶりの低水準だった。

 優秀な人材を確保するためには、賃上げが必要との認識も年々強まっている。日本商工会議所の三村明夫会頭は19日の記者会見で「中小企業は賃上げしないと人が集まらない。危機感からの防衛的賃上げだ」との認識を示した。さらに賃上げが個人消費の拡大につながっていないとの認識を示し「政府は消費を増加させるための対策をとってほしい」と注文をつけた。

 春闘の構図には変化の兆しがある。連合の神津里季生会長は18日の記者会見で、「賃上げをやらないのはあり得ない」としつつ、「賃上げ率」にとらわれず、金額を具体的に定めて要求する「賃金水準」方式に理解を求めた。経済界にも「多様な企業がある中で、横並びにベアをするのは時代遅れ」との認識は広がる。こういった変化は過去5年、ベアにこだわって賃上げ要請をしてきた政府の姿勢にも影響を及ぼす可能性がある。【横山三加子】

賃上げを巡る政労使の主張

<政府>

・菅義偉官房長官「消費税の引き上げを踏まえて一層の努力を期待」

・茂木敏充経済再生担当相「賃上げは消費拡大につながる。(消費税増税前の)来年の春闘は非常に重要なタイミングだ」

<経済界>

・中西宏明・経団連会長「消費税増税で消費が縮むようなことを避けたいのは経済界も同じ。(政府に)要求されたからどうこうという話ではない」

・三村明夫・日商会頭「中小企業は危機感からの防衛的賃上げだ」

<労働界>

・神津里季生・連合会長「(従来と)同じ枠組みを繰り返していても問題を突き破ることはできない」






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