世界動かす女性の力 収益生む“消費者感覚” 東京大学大学院教授 鈴木宣弘氏 – 日本農業新聞

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 「ゆりかごを動かす手は世界を動かす」ということわざがある。全ての人は、お母さん、つまり、女性の手で育て上げられる。良い人間に育つか悪い人間に育つかは女性次第。毎日毎日、掃除・洗濯・炊事と追いまくられて、その価値を見失いそうにもなるが、その毎日の繰り返しこそが、世界を動かす力を育て上げている(東城百合子『かならず春は来るから』、サンマーク出版、2005年)。幸せな社会をつくるのは女性の家事の力。家事の中でも、炊事は、人を育てる一番の基本。

 米国抜きの環太平洋連携協定(TPP11)や日欧の経済連携協定(EPA)に続く「TPPプラス」(TPP水準以上)の「自由化ドミノ」で国産の安全でおいしい食材が十分に手に入らなくなったら、社会の幸せは根底から崩壊する。今こそ、豊かな地域社会を守るために、日本女性の底力に期待がかかる。日本の未来を救えるか否かは女性にかかっていると言っても過言ではない。

 女性の力は農業経営面でも高く評価されている。日本農業法人協会の調べで、女性活躍経営体100選(WAP100)では、14年の平均売上額が5億2000万円で、全法人の平均(3億2000万円)を2億円も上回った(日本農業新聞)。

 また、日本政策金融公庫の「16年上半期農業景況調査」で、農業現場における女性の経営への関与状況について調査したところ、「経営者が女性」「役員として登用」「管理職など幹部登用」というように女性が経営に関与する経営体の割合は53・8%と過半数に上り、さらに、3年間での売上高と経常利益の増加率については、「女性が経営に関与している」グループでは売上高増加率が23・6%、経常利益増加率が126・6%となり、「関与していない」グループと比べて、売上高増加率が1・9ポイント、経常利益増加率が71・4ポイント高かった。

 中でも、「6次産業化」「営業・販売」を女性が担当していると回答したグループは、特に経常利益増加率が高く、法人経営体に至っては極めて高い増加率となっており(6次化=431・1%、営業・販売=672・3%)、女性目線で消費者ニーズを敏感に感じ取り、販売などにうまく生かすことにより高い収益の伸びに結び付いていると分析されている。

 さらには、空閑信憲「6次産業化が稲作農業経営体の生産性に与える影響について」(内閣府、12年)でも、総農業労働時間のうち女性労働力が占める割合が1%上昇すると、生産性が1・09%上昇するという数値が推定されている。

 消費者に安全・安心な国産農産物が命・環境・地域・国土を守る重要性を認識してもらうにも、生産サイドの女性たちから消費者サイドの女性たちへの発信と双方向ネットワークの強化が極めて有効と思われる。女性の一層の活躍が明るい未来につながる。





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