日経平均と米国景気の間の失われた連動性は回復するのか? – 投信1

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皆さま こんにちは。アセットマネジメントOneで、チーフ・グローバル・ストラテジストを務めます柏原延行です。

皆さんは、投資を行うときに、何を判断基準とされることが多いですか?

「政治の動向」、「為替の方向性」、「割安・割高の指標( 例:PERなど)」、「チャート(過去の値動き)」など様々なものがあると思われます。

各判断基準の重要性はその時点の環境によって変化するため、1個の判断基準だけでは(精度良く)市場の動きを説明できないケースが多いと思われます。そこで、優秀な投資家は、意識的にしろ、無意識にしろ、その時々で「①判断基準の重要性の軽重(予想の確からしさを含む)」、 「②判断基準が示唆する方向性」などに関する総合的な判断を行い、投資方針を決定するケースが多いのではないかと思っています。

短期的に考えた場合、通商問題、国内外の政治動向(国会の混乱、北朝鮮問題)が足元の判断基準として重要であることは当然であると思われます。

しかしながら、中長期的な視野で考えた場合、「米国経済見通し」が最も重要な投資判断材料であると、私が考えていることは本コラムで繰り返しお伝えしてきたことです。なぜなら、米国はGDPの規模が世界で一番大きく、米国の経済状況は世界中の企業の収益に、直接的にしろ、間接的にしろ影響を与えるからです。

次に、「米国経済見通し」といっても様々なものがあります。具体的にはどのような指標に注目することが最も効率的なのでしょうか?

私は、以下のサプライズ・インデックス(驚き指標)が、最も有力な指標であると考えています。

投資家は既に米国経済についての一定の前提(予測)を持っており、投資家はこの前提の正確性を 「前提と整合的な経済統計の事前予想値」と「実際に発表された値」との差違を比較することにより、日々チェックしています。

予想値と比較して、発表される経済統計が上ぶれすれば、「経済の見通し」について自信を深め、逆に下ぶれすれば、悲観的なムードがただようことになります(例:予想値と比較して低い失業率が発表されれば、前提より米国経済が好調である可能性があります)。

これを体系的に分析するため、(既にご紹介済みですが)弊社では、「上ぶれ・下ぶれ」を把握できる指標(MSEと呼んでいます)を作成しています(図表1)。

※MSE(ミスイー)とは、当社独自のマクロサプライズ・インデックスです。経済指標のサプライズ情報を集計することで、市場関係者のマクロセンチメントを定量化したものです。データは、加重移動平均3ヵ月。

図表1:MSE米国総合指数と日経平均株価の推移

2017年8月31日~2018年3月28日:日次

出所:ブルームバーグのデータを基にアセットマネジメントOneが作成。

 

図表1を見た場合に、足元の投資判断において、重要なことは2点あります。

1つ目は、2017年9月頃から2018年2月頃までのMSEと日経平均株価の連動性です。MSEは2017年9月頃から上昇傾向に入り、その後2018年初頭から下降し始めます。そして、日経平均株価はこのサイクルに合わせて「最初上昇し、その後下落に転じている」ように見えます。

2つ目としては、2018年2月末頃から3月末頃までは、MSEが上昇基調であるにも関わらず株価は下落基調であり、MSEと株価の連動性が失われています(大きく口を開いたワニのようです)。

これは、前述した通り、「通商問題」や「(わが国の)国会の混乱」が判断基準としての「重要性を増し」、かつ「この基準からは不透明感の増加への思惑から株式下落」が示唆されたためと思われます。したがって、「通商問題」などの基準の重要性が後退する、もしくは不透明感が終息傾向に向かえば、MSEと株価の連動性が回復し、株価の上昇材料になる可能性があると私は考えています。

(2018年3月30日 9:00執筆)

【当資料で使用している指数についての留意事項】

「日経平均株価」は、株式会社日本経済新聞社によって独自に開発された手法によって、算出される著作物であり、株式会社日本経済新聞社は、「日経平均株価」自体および「日経平均株価」を算定する手法に対して、著作権その他一切の知的財産権を有しています。

柏原 延行





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