企業は今こそ構造改革を推進せよ – 日本経済新聞

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 企業の景況感改善の勢いに若干の陰りが浮かんできた。日銀が発表した3月の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)によると、大企業製造業の業況判断指数が8四半期ぶりに悪化した。

 全体の景気動向と一致する傾向が強い同指数は24と、昨年12月調査に比べ2ポイント低下した。原材料高や人件費の上昇が重荷になっている。ただし指数の水準自体はまだ高く、景気が変調をきたし始めたとみるのは早計だろう。

 一方、金融・為替市場の変動や貿易摩擦が深刻化する懸念など先行きには不透明要因が山積している。企業は今こそ生産性向上につながる構造改革を加速し、将来の逆風に耐えられる収益体質を固めるべきだ。

 今回の日銀短観では中小企業の景況感は横ばいを維持し、設備投資計画も堅調な結果となるなど悪い内容ばかりではない。半面、人手不足は業種を問わず深刻さを増し、雇用人員判断指数(全規模全産業)はマイナス34とバブル期以来の低水準となった。もう一つ気になるのは想定為替レートだ。

 2018年度は1ドル=109円台後半に置いており、最近の相場動向に比べてかなりの円安・ドル高だ。国際金融市場の混乱が深まり、円が買われるリスクがほとんど織り込まれていない。一段の円高や株安が進めば、収益計画の下方修正を迫られかねない。

 いま市場が最も警戒するのは米トランプ政権が掲げる「米国第一主義」が世界経済や国際貿易に及ぼす悪影響だ。今月、日米首脳会談に臨む安倍晋三首相は北朝鮮問題への対応に加え、自由貿易の重要性を改めて説いてほしい。

 波乱材料は海外発にとどまらない。今月2期目の任期がスタートする黒田東彦日銀総裁の手綱さばきの重みは増す。日銀が目標とする2%の物価上昇にはなお遠い半面、市場では金融緩和の「出口戦略」をめぐる思惑が交錯している。市場との丁寧な対話を通じ、混乱を未然に防ぐ努力を求めたい。

 19年秋には、先送りしてきた消費税率の引き上げを控えており、今年度の景気動向は重要だ。ただし政府は財政支出を伴う場当たり的な景気対策は慎むべきだ。着実で息の長い経済成長を実現する主役はあくまで企業である。

 政府は、雇用の流動化や企業と個人の自助努力を生かすような働き方改革の実現などを通じた、側面支援に専念すべきだ。





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