9月日銀短観 景気停滞が鮮明に じわり円高、企業業績悪化 – 東京新聞

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 日銀が3日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)は、企業が最近の景気をどう感じているかを示す「業況判断指数(DI)」の「大企業製造業」がプラス6で2四半期連続の横ばいとなり、景気の停滞を色濃く示す結果となった。経済のけん引役となる大企業にとっては消費の落ち込みが長引き、徐々に進む円高が業績をじわじわと悪化させるなど、景気回復の手がかりを感じられないでいる。手詰まりの政策には大きな期待ができず、先行きに明るさが見えない。 (渥美龍太、妹尾聡太)

◆撤退

 「宝飾品の業界は昨年末から落ち込み気味で、この夏場からさらに良くない。撤退する小売店が相次いでいる」。ジュエリー製造販売の「ヴォラーミ」(川崎市高津区)の藤巻樹里社長(34)は、停滞を感じる一人だ。

 安倍政権の経済政策「アベノミクス」で宝飾品は好調だと思われがちだが、藤巻社長は「あくまで一部の富裕層向けの話」と説明。「うちは一点物加工で顧客を確保できているが、業界は厳しさが続いている」と実感を込めた。

 短観によると、「大企業非製造業」のDIは一ポイント悪化のプラス一八で三・四半期連続の下落に。中でも「小売り」は四ポイント悪化しプラス七、宝飾品購入の主力となる訪日外国人の爆買いも円高で失速した。

◆足かせ

 二・四半期連続の横ばいとなった製造業も停滞感は強い。代表的な指標とされる大企業製造業のDIは、プラス六に。アベノミクスとともに上昇した流れは途切れ、ほぼ当初の水準に戻った。業種別では熊本地震から復旧した「自動車」が改善したものの、「造船・重機等」が前回から二二ポイント悪化のマイナス一八になるなど、円高が足かせとなった。

 九月時点で、大企業製造業が想定する為替レートは一ドル=一〇七円九二銭。前回調査より円高方向に約三円五〇銭の修正をしたが、三日午後五時現在で一〇一円台前半と現実はさらに円高に進み、追いつかない。

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 日本自動車工業会の西川広人会長(日産自動車副会長)は「一ドル=一〇〇円を大きく割り込むと、国内での生産に非常に心配が出てくる」と先行きに懸念を示す。

◆限定的

 政策での対抗手段も限られる。日銀の大規模金融緩和は、銀行から国債を大量に買って代わりにお金を渡し世の中のカネ回りを良くする手法が限界に。九月には修正を余儀なくされた。

 安倍首相は「アベノミクスをさらにふかす」と、大規模金融緩和による低金利を背景にした公共事業などに意気込みを示すが、経済同友会の小林喜光代表幹事は金融緩和に「これ以上深みに入るのだけはやめてほしい」とくぎを刺している。

 みずほ証券の上野泰也氏は「政策を無理やりやって、短期的に景気を持ち上げても解決にならない。当面の低成長を覚悟しながら、人口減への対処など抜本的な改革を地道に進めるしかない」と提言している。

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