衆院選争点を歩く<下>巨額の財源 どう確保 – 読売新聞

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<教育無償化>

 午後5時頃、京都市内の中学校の図書室で、部活動を終えた生徒ら約20人が机に向かっていた。隣に付き添う大学生に、英語の宿題を解いていた中学1年の女子生徒(12)が尋ねた。

 「『それはあなたのラケットですか』って、何て言うん?」

 学生が手元のホワイトボードに英単語を書き込むと、生徒は「そうなんや」と声を上げ、プリントに正解を書きとめた。生徒は「丁寧に教えてもらえるので、楽しい」と笑顔を見せた。

 中学生の放課後学習を無料で支援する市教委の「未来スタディ・サポート教室」。学生や地域の大人がボランティアで先生役を務める。塾代を払う経済的余裕がないなど様々な事情を抱えた世帯を支える目的で2015年度から始まり、市内全73中学校に広がった。利用者の中には、親から「大学まではとても行かせられない」と言われた生徒もいるという。

 子供のいる世帯にとって、教育費の負担は重い。文部科学省の調査では、私立の幼稚園で年49万円、公立で同22万円。16年度の日本政策金融公庫の調査によると、高校から大学卒業までにかかる費用は塾代を含め975万円に上る。

 高校生以上の子供を持つ家庭では、世帯年収が下がるほど教育費の割合が多くなり、年収400万円以上600万円未満で21・5%、200万円以上400万円未満で35・2%を占める。

 今回の衆院選では、多くの党が幼児教育・保育や高等教育の無償化を公約に掲げる。

 1人親家庭の子供の居場所づくりなどに取り組むNPO法人「山科醍醐こどものひろば」(山科区)の村井琢哉理事長は「仕事を掛け持ちするなど学費を捻出するための保護者の負担が減り、子供と接する時間が増える」と歓迎しつつ、「親がそばにいてあげられない子供に生活習慣や学習習慣を身につけさせるため、地域で見守る仕組みが必要だ」と指摘する。

 働きながら子供を育てる親からは、「安心して働ける環境作りが先」との声も上がる。

 京都市のパート女性(41)はIT会社の正社員だったが、結婚を機に退職。3人の子供のうち、2人目の長女(4)と3人目の次女(2)は別々の幼稚園と保育所にしか入ることができず、1日2時間かけて送り迎えしている。家計を支えるため正社員で働きたいと思うが、踏み切れないという。女性は「まずは、すべての人が希望する保育所に子供を預けられるようにしてほしい」と話す。

 府内での認可保育所の待機児童数(4月時点)は、京田辺市140人、向日市38人、長岡京市30人など計227人で、前年の3・5倍。京都市はゼロだったが、希望する保育所に入れず、入所をあきらめた「隠れ待機児童」が469人いる。母親の就労支援を行うNPO法人「子育て支援コミュニティ おふぃすパワーアップ」の丸橋泰子代表は「無償化すれば預けたい人が殺到し、待機児童が増える可能性がある」と指摘する。

 中1の長女がいる城陽市のシングルマザー(40)は、昼は自治体の臨時職員、夜はパートと二つの仕事を掛け持ちした経験がある。「親の経済格差が子供の学力格差にならないよう働きたい。ベビーシッターや病児保育に預けやすい環境を整えてほしい」と話した。

 幼児教育・保育や高等教育の無償化には数兆円の財源が必要とされる。同志社大の山田礼子教授(高等教育)は「各党は夢を語るだけでなく、財源をどう確保するのかを説明すべきだ」と指摘した。

   (林華代、川崎陽子)





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