配当急増、内部留保も 大企業、賃上げは抑制 – 東京新聞

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 稼いだお金の多くを株主の配当に回したり、社内にため込んでおく一方、従業員の賃上げに慎重な姿勢を示す企業が増えている。「アベノミクス」が株主を意識した経営を迫ったことが背景にある。今春闘での労使交渉が本格化する中、専門家からは株主重視の行き過ぎを指摘する声も出ている。

 法人企業統計(金融業、保険業除く)によると、二〇一五年度に国内企業は純利益のうち二十二兆二千億円を株主配当に回した。これはリーマン・ショック前のピークの〇六年度と比べ、六兆円(37%)多い。

 さらに余った毎年の利益を積み上げた企業の「内部留保」は一五年度末で三百七十七兆円と過去最高に。一方で〇六年度から一五年度の間に人件費は三兆一千億円(1・6%)減った。

 野村証券によると、上場企業が「株主還元」を意識して自社の株を買い一株の価値を高める「自社株買い」に費やしたお金と、株主への配当を合計した金額は一六年度は十六兆六千億円に上るとの予測で、三年連続で過去最高を更新する見込み。一七年度はこの金額をさらに上回る見通しだ。

 りそな銀行の黒瀬浩一氏は「ここ数年は株主の利益が意識され過ぎて(配当などが増え)、それが人件費の抑制につながっているとみられる。賃上げでの是正が必要だ」と指摘する。

 アベノミクスは海外の株主を意識した経営を企業に迫って投資を呼び込んだ。だが三菱UFJリサーチ&コンサルティングの尾畠未輝氏によると、日本株のうち外国人投資家が持つのは約三割で、平均の保有期間は二カ月にすぎない。

 法政大の坂本光司教授は「企業は従業員を第一に考えるべきだ。特に大企業は取引先の中小企業が賃上げできるよう、発注価格の値上げなどで利益を配分しないと取引先の廃業が相次ぎ製品が作れなくなる。そうなれば結局は大企業の株主が困る」と指摘した。 (渥美龍太)

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