データリテラシー、ブレークスルーを実現する重要スキル:「絶望のループ」を避ける方法 – DIGIDAY[日本版]

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本記事は、WPPグループ最大のデジタルエージェンシー、VMLの日本法人の代表と、株式会社FICCの代表取締役を兼務する、荻野英希氏による寄稿コラムとなります。

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あなたのマーケティング組織は施策の効果を立証することができますか? また、その過程で有益な結論を導き出すことができますか? 「データドリブン」なマーケティング組織になるために、私たちは何に投資をすべきでしょうか?

データの収集や可視化のためのテクノロジーに無闇な投資をしても、マーケティング効果の向上は見込めません。これらのテクノロジーは、データ活用の強化を目的としており、「データが活用できない」という根本的な問題の解決にはなりません。データが活用できなければ、組織は失敗から学ぶことができません。成功も再現できないため、施策には勢いがつかず、大きな成果が出ることもないでしょう。このような状況で無闇な投資を続ければ、組織はさらなる悪化を招く「Doom Loop(絶望のループ)」に陥ってしまいます。

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Doom Loopを避け、マーケティングのブレークスルーを実現する要因は「データリテラシー」です。データリテラシーは、有用な結論に至るために必要なデータの生成や、解釈に関する能力を指します。テクノロジーは確かにデータの分析速度や可視性を向上させることができますが、データリテラシーはそのものを向上することはありません。

行動や態度変容の統計的分析力だけでなく、有益なデータを生成するための施策設計能力は、データドリブンマーケティングに欠かせないスキルです。これには調査設計に加え、オーディエンスデータのターゲティング活用や、コミュニケーション設計、そしてKPI設定のスキルが必要になります。

組織に定着した主観的な意思決定プロセスや、既成概念は、データリテラシーの養成を阻害します。マーケティング戦略を広告代理店に丸投げするような体質も大きな阻害要因のひとつでしょう。このような環境のなかで、新しいテクノロジーを導入しても、マーケティング効果を向上させることはできないのです。

最先端のテクノロジーに投資をすれば、主要なマーケティング指標を表す詳細なレポートやダッシュボードを生成することができます。しかし、それを扱うチームにデータリテラシーがなければ、視覚化されたデータから結論を導き出すことができません。強力なデータインフラストラクチャが、データの操作や分析の基本知識を持たないチームを強化することありません。その一方、データリテラシーの高いチームは、限られたデータを利用するための知識を備えており、データの限界や、どのような技術が本当に必要かを理解しています。彼らは断片的なスプレッドシートを使い、手動でレポートを作成していても、効果的な意思決定に必要な情報を得ることができるはずです。重要なのはテクノロジーではなく、データを共通言語としたマーケティング組織なのです。

データドリブンマーケティングには、チームのデータリテラシーが不可欠です。企業はどのようにデータリテラシーを養うことができるでしょうか?

試験的なプロジェクトへの投資

データリテラシーは、純粋な訓練ではなく、継続的な関与を通じてもたらされます。ワークショップなどで、必要な知識の基礎を築くことはできます。しかし、データを活用したワークフローは従来の業務プロセスとは大きく異なり、担当者にとって予算確保や、プロジェクトの立ち上げが困難になる可能性があります。データリテラシーを養成したい企業は、データを活用したワークフローの確立のために、チームに試験的なプロジェクトの権限を与え、積極的に投資を行うべきです。

価値あるデータを生成する施策設計

単にデジタル施策を実施し、ユーザーの行動をトラッキングするだけでは、有益なデータは得られません。どれだけデータを溜めても、重要な意思決定や、法則性の発見に至らなければ無意味です。有益なデータを得るには、事前に複数の仮説を定義し、検証を可能にする施策設計が必要です。デジタルマーケティングは、細かい計測が行えるだけではなく、設計次第でマーケティング仮説の検証に必要なデータを「生成」することができます。そして、データから得られた結論を、戦略や戦術にフィードバックすることで、継続的なパフォーマンスの向上を実現することができるのです。

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※データ、情報、知識、知恵を分類するDIKWモデル

必要なデータを揃える

継続的な改善ができたとしても、その投資が十分なリターンを生まなければ、継続することはできません。マーケティング施策が達成すべき目標や中期指標がわからなければ、その価値を証明することも不可能です。施策が割り当てられた予算に応じて、収益増を実現するためには、まず損益分岐点を明確にする必要があります。KPIの数値目標を算出するためには、購入あたりの粗利益、ターゲット人口、マーケティング予算以外にも、購買ファネルの段階に沿った認知率、購入意向率、購入率などの数値が必要となります。これらの数値はKPIの設定に不可欠であり、簡単な調査から得ることができます。しかし、企業側の理解がなければ、マーケターにとって予算確保が困難となる場合があります。

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※量的、質的、価値指標の算出例

能力を持った人材を採用する

組織のデータリテラシーを養成するうえで見過ごされる分野は採用です。現在ではネット専業代理店などで広告運用を経験し、一定レベルの能力を持った人材が、事業会社のマーケティング部署へ転職することも珍しくありません。データのマーケティング活用を真剣に考えている企業は、これらの能力を考慮して新しいチーム候補を評価しはじめる必要があります。

目的の明確化を徹底する

企業は上位目的を定義し、部署やチーム、個人の目的を合致させることで組織を管理します。これらの目的は、SMARTを活用することで数値化され、指標の分解が可能になります。指標は、業績を左右するROIの観点から定義されるものや、より広範なビジョンから設定されるものなど、さまざまです。

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データリテラシーの高いチームも、明確な目的を必要とします。データが導き出すのは、目的達成に適した戦略や戦術であり、目的が不明確な状況では役に立ちません。データリテラシーの有無に関係なく、チームは組織の段階的な目的や、指標を明確に理解しておく必要があります。経営者によって定義された明確な目的や、指標という基盤から、チームは継続的にデータリテラシーを育み、さまざまな可能性の評価と、正しい意思決定を実現することができるようになるのです。

Written by 荻野英希
Photo by GettyImage





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