中国、逆境バネに飛躍=経済規模、日本抜き世界2位に-リーマン・ショック10年 – 時事通信

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中国安徽省の高速鉄道駅近くで、工事が止まり野ざらしになっている建物=5日

 【北京時事】で世界中が金融危機に襲われる中、逆境をバネに経済発展を果たしたのが中国だ。高速鉄道建設など大規模な公共投資で景気を下支えし、国内総生産(GDP)は日本を抜き世界2位に飛躍。先進諸国が地盤沈下するのを横目に、国際社会で一気に存在感を高めた。一方で、無理な高成長の後遺症に今なお苦しんでいる。

 ◇高速鉄道を整備
 中国は2008年秋にが起こると、直ちに4兆元(約65兆円)の景気対策を打ち出した。危機に見舞われた先進各国は中国に世界経済のけん引役を期待。中国は道路、鉄道、空港などの整備による内需拡大に突き進んだ。
 柱に据えたのが高速鉄道の建設だった。全国各地が高速鉄道で結ばれ、利便性が格段に向上。総延長は17年末時点で2万5000キロに達し、日本の新幹線の10倍に迫る勢いとなっている。
 高速鉄道は市街地から離れた場所を通るケースが多く、荒れ地が広がる新駅周辺にニュータウンが計画されるのが一般的。過去10年で多くの「駅前ニュータウン」ができ、経済の押し上げに貢献した。だが、失敗例も目立つ。

きれいに整備されながらも、人影のまばらな中国安徽省の宿州東駅前=5日

 ◇貧富の差が拡大
 北京-上海間の高速鉄道は利用者の多いドル箱路線だ。しかし、安徽省の※州(※サンズイに除)、蚌埠南、宿州東の各駅で下車してみると、いずれも駅を中心に広い道路が整備されている割に住民の姿はまばら。
 蚌埠南の駅前には真新しいマンションが並ぶ。不動産業者に聞くと、既に全戸完売というが、入居者は非常に少ない。短期的な転売益を見込む富裕層が投機目的で購入しているためだ。
 マンション群から少し歩くと、工事がストップし、野ざらしになっている不気味な建物が目に留まった。関係者によると、地元政府の肝煎りで、企業などの情報を保管するデータセンターが計画されていたが、資金不足のため中断に追い込まれた。
 隣の区画は雑草が一面に生い茂る更地。プレハブ小屋に住み込んで管理を任されている農村出身女性(55)は「月1000元(約1万6000円)の給料は何年も全く支払われていない」と憤る。「政府は開発、開発と言うけど、われわれ庶民はマンションなんて買えっこないよ」。
 ◇副作用で貿易戦争
 リーマン・ショック後の景気対策は貧富の差を広げただけにとどまらない。開発に必要な資材を供給するため、鉄鋼やセメントの工場が先を争うように生産設備を拡張。その結果、過剰な生産能力を抱え込んだ。建設ブームが一段落すると、だぶついた鉄鋼を安値で輸出に回すようになった。
 これにかみついたのがトランプ米大統領だ。国内産業を保護するため中国製鉄鋼などの流入阻止を図り、今年3月に高関税を発動。現在の米中貿易戦争の端緒となった。
 08年に始まった中国の景気対策は危機下の世界経済を支え、先進各国から称賛された。国際社会では中国の台頭を歓迎するムードすらあった。しかし、先進各国は今、鉄鋼の過剰生産などの「副作用」に非難の声を浴びせ、米国は中国の覇権を警戒。中国には「あの時、世界を救ったのに」との思いは強い。
 ◇負債率上昇、注視が必要=齋藤尚登氏(大和総研主席研究員)の話
 中国政府は「保八」(8%成長維持)を合言葉に、2008年11月に4兆元(約65兆円)もの景気対策を発動した。中国経済は世界に先駆けて回復したが、債務残高は急増。債務残高の国内総生産(GDP)比の高さや上昇ペースの速さは、かつて金融危機に陥った国々に匹敵している。
 17年には金融リスクの軽減が重視され、企業のデレバレッジ(負債率引き下げ)が推進された。1年が経過し、今度はその行き過ぎが警戒されている。インフラ投資の急減速はその一例だ。
 慌てた中国政府は今年7月下旬に金融緩和やインフラプロジェクトの資金確保などの景気支援策を発表した。インフラ投資の腰折れは地方政府債務を急増させ得るPPP(官民連携)プロジェクトの見直しが背景だ。こうしたプロジェクトを続ければ、デレバレッジは元のもくあみとなる。
 4兆元の景気対策の後始末は始まったばかりだが、早々に試練に直面している。負債率がさらに高まることは将来的な金融リスクが一段と高まることにほかならず、注視が必要だ。(2018/09/16-07:17)


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