株・通貨「米国買い・中国売り」鮮明に – 日本経済新聞

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 「米国買い・中国売り」の動きが金融市場で強まっている。米中貿易摩擦が強まるなか、景気動向の違いなどから「米国は有利な立場で、中国は譲歩せざるを得ないのでは」との見方が強まっているためだ。ただ、経済規模で1、2位の大国同士による貿易摩擦の行方は読み切れないうえ、トランプ米大統領の場当たり的な動きがどんな影響を及ぼすかも不確実だ。

 米中の株・通貨は6月に入ったあたりから乖離(かいり)が鮮明になっている。5月末比で米ダウ工業株30種平均は3%上昇。一方、上海総合指数は9%下落し、7月上旬には約2年4カ月ぶりの安値を付けた。米ドルは通貨の総合的な実力を示す名目実効レートでみて5月末比で約1.5%上昇。中国人民元は4%強下落している。

 「米中の景気の方向性の違い」(三井住友アセットマネジメントの永見哲氏)がある。米国は大型減税の効果もあって、個人消費が伸び、企業の生産活動も活発だ。一方、中国ではインフラ投資が落ち込み、個人消費も弱含んでいる。過剰債務の削減の途上でもあり、「貿易摩擦が重なると景気の減速リスクが一段と強まってしまう」(米BNYメロン・インベストメント・マネジメントのリズ・ヤング氏)。

 経済構造の面でも「中国が不利」(三菱UFJ国際投信の石金淳氏)との声がある。米国に比べて中国は輸出依存度が高い。米モルガン・スタンレーの試算では米国による500億ドル(5兆6000億円)分の中国製品への25%の追加関税は、輸出減を通じて中国の経済成長率を0.1ポイント下押しする。仮に2000億ドル相当の中国製品に10%の関税を追加すれば、中国景気への悪影響は0.3ポイントに拡大するという。

 また、中国は関税による対抗措置の規模が限られる。中国の米国からの輸入額は年間約1300億ドルと、米国の中国からの輸入額(約5000億ドル)の約4分の1にとどまるためだ。関税以外では米国製品の不買運動、人民元の大幅切り下げ、米国債の売却なども取り沙汰されるが「どれも中国へのデメリットが大きく非現実的」(SMBC日興証券の肖敏捷氏)。例えば、元切り下げは資本流出につながるリスクがある。このため、中国はいずれ輸入拡大などの譲歩策に追い込まれるとの見方が強まっている。

 もっとも、米中を含めた世界全体に打撃が広がり、「全員が敗者」となる恐れは否定できない。国際通貨基金(IMF)は18日、貿易戦争が激化すれば世界の経済成長率が0.5ポイント下振れするとの試算を公表した。

 トランプ氏の政策・発言の一貫性のなさもリスクだ。高関税で安い輸入品を締め出せば米国内でインフレ圧力が強まって、一段の利上げ・ドル高につながり、輸出競争力が低下して貿易赤字の削減はおぼつかなくなる。利上げ・ドル高をトランプ氏はけん制し始めたが、インフレを放置すれば実質賃金が低下して景気を冷やす恐れがある。場当たり的な「トランプ流」の帰結はまだみえず、「米国買い」がどこまで続くかも不透明だ。





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