マイナス成長 好循環つくり回復軌道に – 西日本新聞

Home » 01GDP(国内総生産) » マイナス成長 好循環つくり回復軌道に – 西日本新聞
01GDP(国内総生産) コメントはまだありません



 景気回復の足踏みが鮮明になった、といえるだろう。

 内閣府が発表した2018年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0・2%減となり、年率換算で0・6%減だった。マイナス成長に転じたのは、9四半期(2年3カ月)ぶりである。

 内需主要項目の個人消費、設備投資、住宅投資がいずれもマイナスとなり、輸出も減速した。一時的な下振れとの見方が強いが、世界経済は米中貿易摩擦や中東情勢の緊迫化に伴う原油高など不安材料を抱えており、先行きに不透明感が漂う。

 折しも、18年3月期の企業決算は、堅調な世界経済や昨年末までの円安を受け、最終利益が過去最高を更新する見通しだ。企業の好業績を起点に景気の回復軌道維持を確実にしたい。

 今期のGDPの大きな特徴は個人消費をはじめ内需が一様に振るわず、経済成長率を押し下げたことだ。

 GDPの約6割を占める個人消費はスマートフォンや自動車の不振に加え、大雪による野菜の高騰などで前期比0・001%減となった。住宅投資も同2・1%減少した。相続税対策を見込んだ賃貸アパート建設が一服し、持ち家着工の伸び悩みも響いた。設備投資は通信機械への投資が振るわなかった。

 もう一つの特徴は、輸出の伸びにブレーキがかかったことだ。輸出は前期比0・6%増と2四半期続いていた2%台の伸びから大きく減速した。アジア向け電子部品輸出の低迷が大きい。一方、輸入も内需低迷で0・3%増にとどまった。

 総じて今期は天候不順、スマホの不振など下振れ要因が集中した。だが、家計の所得環境や企業の収益環境は堅調で、景気の回復基調が途切れたと判断するのは早計だろう。今後、個人消費、設備投資、輸出が持ち直してプラス成長に復帰するとの見方が強い。

 東京証券取引所1部上場企業の18年3月期決算は、最終利益の合計が30兆円規模と過去最高を更新する見込みだ。

 今期のGDP速報では、収入の動きを示す雇用者報酬が名目で前年同期比3・2%増、実質で2・0%増と高い伸びになった。非正規労働者を含め雇用者数全体が増え、1人当たりの賃金上昇も寄与したようだ。こうした動きに弾みをつけたい。

 好調な企業収益を、まずは賃金の上昇や雇用の増加などに振り向け、消費を促して、新たな生産を喚起する経済の好循環をつくることが何より大切だ。政府も企業に新たな事業や投資を促す規制改革など成長戦略の着実な実施を急ぐ必要がある。

=2018/05/17付 西日本新聞朝刊=





コメントを残す