景気回復に影、景況感2年ぶり悪化 先行き曇らす円高 – 日本経済新聞

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 6年目に入った景気回復に影がさしてきた。日銀が2日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の景況感が8四半期ぶりに前期より悪くなった。保護主義的な動きが広がり、円高と資源高も進むなかで企業は先行きを慎重に見始めている。2018年の経済成長はこれまでより緩やかなものになる可能性がある。

 「トランプ米大統領が引き起こしている貿易問題が、世界経済にどんな影響を及ぼすのか注視していく」。三菱ケミカルホールディングスの越智仁社長は2日、こう発言した。「鉄鋼がきっかけとなり、日米の貿易全体に影響を与える可能性がある」(新日鉄住金の進藤孝生社長)といった声も出ており、保護主義への懸念が経営者マインドを圧迫している。

 今年に入って進んだ円高への不安感も強まりがちだ。円相場は1ドル=112円程度だった年明けに比べ、足元では106円台と6円ほど円高・ドル安の水準にある。短観で明らかになった18年度の大企業製造業の想定為替レートは1ドル=109円66銭で、これを上回る円高だ。企業が3カ月後の景況感を予想する先行きの業況判断指数(DI)は、円高の影響を受けやすい自動車が22から13へと大きく悪化し、電気機械も下振れした。

 資源高も重荷だ。世界景気の拡大を受け、米原油先物は1月に1バレル66ドル台と3年2カ月ぶりの水準まで上昇。17年末に銅の国際価格は約4年ぶり、アルミニウムは5年9カ月ぶりの高値を付ける場面があった。

 短観では仕入れ価格が「上昇」と答えた企業の割合から「下落」の割合を引いた仕入れ価格判断DIが、素材業種でプラス36と12ポイントも上昇した。半面、販売価格への転嫁は容易ではない状況が続いているため、販売価格判断DIの上昇は限定的だ。交易条件は悪化しており、大企業製造業のなかでは鉄鋼や非鉄金属など素材業種の業況感の冷え込みが目立つ。

 保護主義的な動きが状況を一段と複雑にする恐れもある。米国の輸入関税を受けて中国製の鋼材などがだぶつき、「日本やアジアの市況を押し下げかねない」(流通業者)。実際、中国の鉄筋先物は将来の需給悪化を懸念した売りに押されて3月中に約2割下落した。原材料の仕入れ価格は上昇し、同時に販売価格が下押しされる形となれば、素材系企業などへの悪影響はより大きくなる。

 企業経営者には「企業業績は良く、今年の春闘ではベアも広がっている」(高島屋の木本茂社長)などと楽観論も根強い。その半面、「米州でタイヤの強度を出すためのスチールコードの原材料を輸入しており、(米国の)鉄鋼関税引き上げはコスト増につながる恐れがある」(ブリヂストンの江藤彰洋最高財務責任者)、「消費者は国内景気にやや不安定さを感じているのでは」(ローソンの竹増貞信社長)など慎重な声もじわりと増え始めている。





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