政府財政見通し 現実軽視では信頼失う – 北海道新聞

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 内閣府が最新の中長期財政見通しを試算し、公表した。

 国と地方の政策経費を税金で賄えるかどうかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化は、従来よりも2年遅れて2027年度になるとした。

 安倍晋三首相が打ち出した消費税の使途変更を反映させ、前提となる成長率もこれまでより低めに見積もったためだという。

 もっとも、3%台の名目成長率が20年度から8年間続くという想定は、やはり現実味を欠く。

 安倍政権は夏までに新たな財政健全化計画をまとめる予定だが、この見通しが前提では、また目標達成を先送りすることになりかねない。もっと厳格な条件で財政再建を考え直すべきだ。

 首相は昨秋の衆院選で、消費税増税後に借金返済用の財源を教育無償化などに回す公約を掲げた。

 これにより、20年度にPBを黒字化するという財政健全化計画の達成が困難になったとし、目標を設定し直すことになった。

 実際は、それ以前から目標が有名無実化していたことを忘れてはならない。昨年7月の財政見通しの時点で、20年度のPBは8兆2千億円の赤字が見込まれていた。

 甘い見通しを根拠に「経済成長なくして財政健全化なし」と成長頼みの財政運営を続け、かえって傷を広げた結果である。

 同じような失敗を繰り返すことがあってはなるまい。

 税収に直結する名目成長率は、16年度実績が1・0%、17年度見通しが2・0%と、近年はおおむね2%前後で推移してきた。

 ところが今回の財政見通しを見ても、20年度から毎年3・1~3・5%という高成長を続け、27年度にPB黒字化を達成するという強引なシナリオが描かれている。

 これを基準にPB黒字化の目標年次を設定しても、また絵に描いた餅になるのは目に見えている。

 財政健全化計画は国際公約だ。現実軽視の内容では国際的な信頼を失う恐れがある。

 内閣府は、現実に近い名目成長率2%前後で推移するケースも試算しており、むしろこちらを基準にすべきだろう。

 その場合、27年度のPBは8兆5千億円もの赤字となる計算だ。経済成長も大事だが、歳入と歳出のあり方を総合的に見直さなければ健全化はおぼつかない。

 社会保障制度の新たな設計図を示すだけでなく、膨張する防衛費や大企業優遇の税制などにも大胆に切り込む覚悟が求められる。





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