中国版「一村一品」運動 – 日本経済新聞

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The Economist

 中国浙江省の沿岸部に位置する小さな都市、海塩県。ここでは原子力が未来へのカギを握る。電力の供給源として重要なだけではない。地元の官吏たちは企業や観光客を呼び込む魅力として原子力をとらえている。

 中国が初めて国内で開発した商用原子炉が立つ海塩県は、近ごろ自らを「原子力の町」と呼ぶようになった。原子力博物館をオープンするとともに、原発に関連する工業団地の建設に着手した。さらに「原子力」をテーマにしたホテルや住宅の詳細な計画も練っている。目抜き通りの上にかかる看板には「希望の町」という文字が躍る。

中国で初めて開発された商用原子炉が建つ浙江省海塩県は「原子力」をテーマに成長を目指す=AP

中国で初めて開発された商用原子炉が建つ浙江省海塩県は「原子力」をテーマに成長を目指す=AP

 原発にそれほどの関心を持たない者にとっては、車で少し走ったところにある新興都市のほうがよほど魅力的かもしれない。飲み食いするのが好きな人向けには「チョコレートの町」や「シイタケの町」がある。ファッションに敏感ならば「レザー(革製品)ファッションの町」や「化粧品の町」もいい。熱心なファンドマネジャー向けの環境も充実していて、「金融」をテーマに据えた町が4つ存在する。

 これらの町の開発はいずれも、中国が推進する「特色小鎮」政策の一環だ。特色小鎮は「特色ある町」の意味で、中国東部に位置する裕福な浙江省で始まった。今では全国に展開している。

■2020年までに1000都市認定へ

 この政策は、都市化が急速に進む中、大都市の人口を制限するとともに、全国に人口を分散させるという長年の取り組みの延長線上にある。中央の政策立案者たちは「特色小鎮」を、人口が50万人以下の都市の成長を促進する手段と見ている。こうした都市は派手なメガシティーに比べてずっと粗末な様相を呈していることが多い。

 地方の官吏たちは、自分たちの地域が持つ独自性を掘り起こし、それを本格的なテーマに練り上げて開発指針にするよう指示を受けている。独自性とは具体的には、地場の産業や観光の目玉となる施設、地元ならではの生活スタイルなどを指す。

 独自性をテコに経済を繁栄させる都市が多数生まれることが期待されている。中央政府はこの1年半の間に403の特色小鎮を認定した。2020年までに、これを1000に増やす意向だ。

 中国の都市はかつて、様々なビジネスを幅広く発展させるべく、広大な地区を新たに開発した。だが、これによって巨額の負債をため込むことになった。現在の特色小鎮は一つの産業に的を絞るため、都市の振興にかかるコストはずっと安くすむ。

 いくつかの都市では、当初の狙いが横道にそれてしまったとの懸念がある。地方政府が無駄な計画に多額の資金を注ぎ込むのを懸念する中央政府は、認可する対象を制限しようとしている。その一方で、地方政府は許可の有無にかかわらず計画を推し進める。北京で発行されている新聞チャイナタイムスは、振興に取り組む特色小鎮の数は現在6000にのぼると報じている。

■投資総額はGDPの7%弱

 香港の申万宏源証券の試算によると、1都市当たりの平均投資額は約50億元(約860億円)だ。中央政府が予定する1000都市すべてにこの金額を投じた場合、コストの総額は5兆元(約86兆円)に達する。これは中国のGDP(国内総生産)の7%に迫る金額だ。中国の水準から見ても莫大な金額となる。

 習近平国家主席がこの政策を支持した時に想定した内容から逸脱しているように見える取り組みもある。





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