アングル:英財務相、歳出拡大で批判かわしきれるか – ロイター

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[ロンドン 23日 ロイター] – ハモンド英財務相は22日公表した最新の予算案で、自身への批判を少なくとも当面は和らげることができたかもしれない。2019年の欧州連合(EU)離脱が英経済に及ぼす影響がまだ読み切れない点が、ハモンド氏の財政運営にとって制約となっている。それでも与党・保守党内からは、有権者の支持獲得に向けて歳出を拡大すべきだとの要求が強い。

11月23日、ハモンド英財務相は22日公表した最新の予算案で、自身への批判を少なくとも当面は和らげることができたかもしれない。写真は庶民院で予算案を説明するハモンド氏。提供写真(2017年 ロイター)

こうした中で示した予算案で、ハモンド氏は初めての住宅購入者の大半に課していた税金の撤廃をはじめ、保守党の人気回復のためのいくつかの歳出拡大措置を打ち出した。その効果は、与党議員のハモンド氏に対する反発を収めるには十分だった。一部の与党議員はこれまで、「スプレッドシート・フィル(計数管理しかしない面白みのない人物の意味)」というあだ名で呼ばれているハモンド氏のブレグジット(英のEU離脱)や財政問題での慎重な態度に業を煮やし、メイ首相に更迭を求めていたのだ。

保守系大衆紙の中では、サンがハモンド氏の歳出増を称賛したほか、かつてハモンド氏を「クマのプーさん」に登場するさえないロバの「イーヨー」になぞらえ、不誠実さや陰気さを攻撃していたデーリー・メールも「もはやイーヨーとは呼べない」と宣言した。

当のハモンド氏は23日、BBCラジオに出演し「わたしは決して悲観的なわけではなく、現実主義者だ。わたしは世界をそのままに解釈する」と語った。一方、メイ氏は財務相の地位は安泰かとのテレビで質問されると、予算についてハモンド氏は非常に良い仕事を成し遂げたと発言した。

ただハモンド氏の逆風が完全に鳴りを潜めたかどうか懐疑的なメディアもある。フィナンシャル・タイムズは、ハモンド氏は人気取り策によって「しばらくの間」は生き残れると見方を示した。

<前途多難>

英予算責任局(OBR)は向こう5年の成長見通しを引き下げ、今年は2.0%から1.5%に修正した。国際通貨基金(IMF)によると、世界経済全体は今年3.6%、来年3.7%と順調な成長が続くのと対照的な状況だ。

英国にとって成長の弱さは、財政再建が遅々として進まないことを意味し、ハモンド氏は手足を縛られたままになる。有力シンクタンクの英財政研究所(IFS)は、今の債務削減ペースが続けば、債務の対国内総生産(GDP)比率を2007─08年の金融危機前の水準まで下げられるのは2060年代以降になるとの予想を示した。

またOBRの見通しには、ブレグジットの影響は織り込まれていない。ブレグジットがどのような形になるかまだはっきりしないためで、ロイターのエコノミスト調査では混乱を伴うEU離脱が起きる確率が33%前後あるとみられている。

ハモンド氏にとってさらに事態を難しくさせるのは、家計の財布が厳しい事態があと何年も続きそうなことだ。OBRは、今後2年間は実質賃金の伸びがゼロになると見込む。

IFSのポール・ジョンソン所長は「生活水準が着実に上がっていく世界はどんどん過去の話になっているかもしれないという考え方を、われわれみんなが違和感なく受け入れる必要が出てくる」と話した。

(Andy Bruce記者)



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