教育無償化を消費増税で実現、選挙で信問う-再延期のリスクは低下 – ブルームバーグ

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安倍晋三首相は10%への消費税率引き上げ時の増収分について、財政健全化に振り向ける割合を減らし、新たに教育無償化の財源に充てる方針を表明した。10月22日投開票の衆院選で信を問う。

  首相は25日夕の記者会見で、「我が国が直面する最大の課題は少子高齢化」と述べ、「子育て世代への投資を拡充するため、これまで約束していた消費税の使い道を思い切って大きく変える決断をした」と言明。その上で「国民生活に関わる重い決断を行う以上、速やかに国民の信を問わねばならない」とし、今月28日の臨時国会冒頭で衆議院を解散する考えを示した。

  首相が掲げたのは「全世代型」の社会保障。これまで高齢者に重点配分されてきた政府資産を現役世代にも振り向ける。消費税率引き上げによる増収分は子育て、医療、介護、年金の社会保障関連費に限定していたが、新たに教育分野を加える。

  具体的には、所得の低い家庭の子どもに限定し、給付型奨学金や授業料の減免措置を拡充することで高等教育の無償化を進める。幼児教育においても0歳から2歳児については低所得家庭を対象に、3歳から5歳児までは全家庭を対象に幼稚園や保育所の費用の無償化を進める。社会人向けのリカレント教育も推進するとし、これらの施策実現に向けて、年内に2兆円規模の政策パッケージを策定する。

  SMBC日興證券の宮前耕也シニアエコノミストは同日の電話取材で、使途変更により「増税を再度延期するリスクは低下した」とみる。教育財源の充実については「教育無償化、特に高等教育の無償化こそ人口対策になる」として評価。一方で、大学進学率の上昇により、「人手不足に陥るという副作用もある」と指摘した。

  衆院議員の任期切れが来年12月に迫る中、首相は解散の時期を模索。森友、加計学園問題をはじめ相次ぐスキャンダルで落ち込んだ支持率が回復の兆しを見せているタイミングで、消費税の使途変更を「大義」に掲げ解散総選挙に踏み切った。

  足元の経済環境は好調で、国内総生産(GDP)は11年ぶりの6期連続成長を記録している。首相は就職率が過去最高となり、過去2年間で正規雇用が79万人増加したなどを挙げ、「内需主導の力強い経済成長が実現している」と強調。その上で、「今こそ最大の壁にチャレンジする時だ」と語った。

PB黒字化目標

  首相は会見で、消費税率引き上げによる「増収分を借金の返済と子育て世代への投資とにバランスよく充当する」と述べ、その割合を「おおむね半々」とする目安を示した。10%への引き上げで見込まれる5兆円台半ばの増収については、約4兆円を財政健全化、約1兆円を社会保障の充実に充てる方針を大幅に転換する。

  消費税による増収分の使途変更に伴い、2020年度に基礎的財政収支(PB)を黒字化すると定めた政府の財政健全化目標の達成は困難になるとの見方も示した。ただ、首相は「財政再建の旗を降ろすことはない。PBの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持する」と述べ、撤回はしない構えだ。

  健全化に向けた歳出抑制策として、財政健全化計画で定めている社会保障費の伸びを5000億円程度に抑える「目安」についても維持する方針だと説明した。

  SMBC日興証券の宮前氏は、目標先送りは「既定路線」だったと指摘。「日銀のイールドカーブコントロールもあり、金利への影響は限定的だ」と分析した。内閣府は、名目GDP成長率を3%以上と仮定した場合でもPB黒字化の達成は25年度になると試算していた。

教育財源

  首相は高等教育の無償化を憲法改正の検討項目の一つに挙げていた。財源については、保険料率を上乗せする「こども保険」や、教育に使途を限定した「教育国債」の発行が取り沙汰されていた。そこへ、新たに消費税の引き上げ分を財源に充てる考えを示した格好だ。

  消費税収を財源にする理由について、首相は「大きな改革を行うわけだから、その予算については安定財源をあらかじめしっかりと示さないといけない」と説明。歳出削減による財源捻出では必要な規模が確保できない可能性があるとの見方を示した。同時に、こども保険については「党内において具体的には議論していく」と検討の余地を残した。

  麻生太郎財務相は22日の会見で、「教育国債は赤字公債だ。そういったものを出すつもりはない」と教育国債に否定的な見解を示した一方で、消費税については歳入の当てがあると話していた。



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