中国AI、米に肉薄 データ数で圧倒的に優位 – 日本経済新聞

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The Economist

 AI開発の分野で、先頭を行く米国に中国が迫りつつある。一部の分野では既に追い越しているようだ。ネット利用者の絶対数の多さがもたらすデータの量と多様性が、深層学習分野で有利に働く。既存のIT(情報技術)大手もベンチャー企業も、中国政府の支援を受けつつ、AI技術開発にまい進する。

 2017年の年明けに、世界のAI(人工知能)開発の行方を暗示する2つの出来事が連続して起こり、この業界の動向を追う人々の注目を集めた。

 1つ目は、世界最大のソフトウエア企業、米マイクロソフトの幹部だった陸奇氏が中国企業に移籍したことだ。自転車事故でけがを負い休職中だった陸氏は1月半ばに移籍を発表した。けがが治ってもマイクロソフトに復帰はせず、中国検索エンジン大手・百度(バイドゥ)の最高執行責任者(COO)に就任する。

 続いて1月末には、国際的なAI学会「AAAI」の年次大会の開催が延期された。予定されていた日程が、中国の春節(旧正月)と重なったためだ。

 AIは、デジタルアシスタントから自動運転車まで、あらゆる分野で不可欠な技術になると広く考えられている。そのAIの一部の分野で、先頭を行く米国に中国が迫っている──分野によっては追い越してさえいる──ことを示す兆候はこれまでにも見られた。先の2つの出来事はその最新の表れだ。

■論文数で世界1位

 陸氏は移籍の理由を、中国がAI開発に適した場所であり、バイドゥはその中国で最も重要な企業だからだと説明した。「我々は未来のAIを先導する機会を手にしている」(陸氏)

 陸氏の主張を裏づける証拠はほかにもある。米国政府が16年10月に発表した報告書によると、AI研究の一部門である深層学習(ディープラーニング)において、学術誌に掲載された論文数で中国が米国を上回ったという。

 英コンサルティング会社プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は、AI関連産業の成長は30年までに、世界の国内総生産(GDP)の総額を16兆ドル押し上げると予測する。しかも、その伸びの半分近くを中国のAI産業が担うという。

 近年のAI関連の特許申請件数を見ると、絶対数ではなお米国がトップであるものの、中国人研究者による申請件数は3倍近くに増えた。

 中国がなぜAI開発に適しているのか。その理由を理解するには、AI開発に必要な要素を考えればよい。最も基本的な要件であるコンピューターの演算能力と資本が、中国には豊富にある。

 電子商取引大手のアリババ集団やネット大手の騰訊控股(テンセント)など中国の大企業はもちろん、CIBフィンテック(興業数字金融服務)やUクラウドといったベンチャー企業も、データセンターを早期に建設すべく全力を注ぐ。米調査会社ガートナーによると、クラウドコンピューティング市場の成長率は近年30%を超え、今後もこのペースで成長を続けそうだという。

 中国のシンクタンク、烏鎮智庫によれば、中国のAI企業が12~16年に調達した資金は26億ドルに達する。米国のAI企業が集めた179億ドルには及ばないものの、その総額は急速に膨らんでいる。

■大量データが深層学習を支援

 しかし、中国を真の意味でAIの約束の地にしている要素は、別の2つの資源にある。一つは人材だ。この国には、優れた計算スキルに加え、言語と翻訳を研究する伝統がある。マイクロソフトのAI開発を率いるハリー・シャム氏はこう指摘する。

 アリババで150人のデータサイエンティストを監督する閔万里氏は、現在、最高レベルのAI専門家を中国で見つけるのは、米国で見つけるよりも難しいという。

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