ベネズエラの「独裁」が心配だ – 日本経済新聞

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 南米の産油国ベネズエラで7月30日、新しい憲法を定める制憲議会のメンバーを選ぶ選挙がおこなわれた。立候補の制限や野党勢力のボイコットもありマドゥロ大統領の与党が全議席を獲得した。

 これを踏まえマドゥロ政権は、野党が多数を占める国会の解散か権限剥奪に踏み切る、との見方が強い。ベネズエラは独裁の淵に立たされた印象である。

 大統領による制憲議会の招集には違憲の疑いがあり、選挙では不正も指摘されている。米トランプ政権が制裁を発表するなど、厳しい視線を向けている国は多い。

 キューバや中国など支持を表明した国もあるが、民主主義の破壊と独裁に反対するメッセージを国際社会は強めるべきだ。

 いまの憲法では大統領は2019年1月に任期が切れるが、居座りをめざす公算が大きい。ベネズエラが直面する危機は長期化し深まるおそれが強まっている。

 政治面では街頭デモの激化が心配だ。過去4カ月の間にデモ隊と治安部隊の衝突による犠牲者は120人に達している。

 経済の立て直しが遠のく懸念も強い。原油安を主因とする景気後退は深刻で、国際通貨基金(IMF)によればことしの実質経済成長率は16年に続いて2ケタのマイナス成長になる見通しだ。

 一方で食料品や薬品をはじめモノ不足が深刻で、年率3ケタに達している消費者物価上昇率は4ケタになるとIMFはみている。経済危機の克服には社会主義的な統制政策からの脱却が必要だが、大統領は政策転換に消極的だ。

 米政府はベネズエラ産原油の禁輸も視野に追加制裁を検討しているようだ。ただ、過度に強力な制裁措置はベネズエラ国民を一層苦しめ、国際原油相場ひいては世界経済にも波乱要因となる。慎重な目配りが必要だろう。

 近隣の国々ではベネズエラ難民への警戒が高まっている。すでにコロンビアは受け入れ態勢の整備に追われている。影響をやわらげる努力を国際社会は求められる。

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