(社説)ASEAN50年 民主化の歩みをさらに – 朝日新聞

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 大国でなくても、まとまって力を合わせれば存在感を発揮できる。その好例といえる東南アジア諸国連合(ASEAN)が8日、設立50周年を迎える。

 日本にとっては大切な貿易・投資相手であり、多国間外交の重要な舞台でもある。アジアの平和と繁栄を支えるため、さらなる発展を期待したい。

 共産主義に対抗するため5カ国で生まれた地域機構は、いま10カ国が加盟している。人口は6億を超え、欧州連合(EU)を上回る。

 着実に経済成長を続け、10年以内に名目GDPで日本を超すとの予測もある。経済だけでなく、政治や社会の統合を深めることも目標に掲げている。

 冷戦の終結後は、域外の国も招く対話の枠組みを次々と生み出した。アジア太平洋の安全保障を話しあう地域フォーラム、日中韓との首脳会議、米国・ロシア・インドなど8カ国を加えた東アジアサミットなどだ。

 各国間の信頼づくりを後押しし、地域の安定に結びつけたことは高く評価したい。

 だが、今世紀に入って民主化が後退しているのは心配だ。

 人権や表現の自由などの価値を見失えば、社会のひずみは解消せず、内政の安定も見通せない。ASEANの国際評価や影響力にも影を落とすだろう。

 東南アジアでは独裁政権のもとで経済発展を進める国が多かった。しかし、1980年代から90年代にかけて民衆蜂起などで政権が倒れ、自由な選挙や法の支配が定着していった。

 ところがタイでは06年に15年ぶりに軍事クーデターが起き、民政移管は先送りされている。反独裁の先駆けだったフィリピンは、超法規的な麻薬対策が国際的に批判されている。

 ミャンマーは11年に軍政から民政に移ったが、軍の強い政治力を残す憲法は改正されず、少数民族との和解も進まない。

 国際NGOが発表した今年の「報道の自由度」では、インドネシアとフィリピンが「部分的に自由」で、残る8カ国は「自由でない」だった。

 国際環境の変化も懸念される。人権問題を抱える中国がこの地域に影響力を増す一方、米国のトランプ政権はかつての米国外交のような民主化推進に関心があるように見えない。

 多様性を重んじるASEANで、民主化が一様に進むことはあるまい。それでも、5年前には首脳会議で「ASEAN人権宣言」を採択した。

 その言葉を実行に移す努力を続けるべきだ。それが次の50年の発展を支える礎になろう。





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