ファーフェッチが「スタイルドットコム」買収で目指すECの次なるステージ – WWD JAPAN.com

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 米コンデナストがラグジュアリーECモールを運営する英ファーフェッチ(FARFETCH)とのパートナーシップ提携を発表した。まずは「ヴォーグ(VOGUE)」と「GQ」の2媒体を活用し、提携によってユーザーは「ヴォーグ」や「GQ」と「ファーフェッチ」の双方で、コンテンツを見てすぐに商品を買えるようになる。これに合わせてコンデナストが運営する「スタイルドットコム(Style.com)」へのアクセスは全て「ファーフェッチ」へ転送されるようになり、事実上「スタイルドットコム」は閉鎖となった。米WWDによると金額こそ非公表だが、ファーフェッチは「スタイルドットコム」のドメインと顧客データ、在庫、知的財産権の全てを買収したという。そもそも、2013年にはすでにコンデナストが先導となってファーフェッチのために2000万ドル(約22億円)を集めるなど、両社の蜜月関係は長い。パートナーシップの目的はECと雑誌コンテンツを組み合わせた新時代のECプラットフォーム作りというが、ファーフェッチにとって買収のメリットは何なのか。

 ファーフェッチは08年に創業したラグジュアリーECモールで、40カ国750以上のショップと提携している。米セレクトショップ・ブラウンズの買収を含めて、オムニチャネル施策に早くから取り組むEC企業として有名だ。2016年会計年度の決算では売上高が前年比70%増と急成長を遂げている。資金集めのために銀行へ融資を申し込んでいるとの報道もあり、一部ではIPO(新規公開株)による上場を目指しているのでは、とささやかれるほどだ。IPOによって企業価値は50億ドル(約5500億円)まで上昇するといわれる。ジョゼ・ネヴェス(Jose Neves)=ファーフェッチCEO自身はIPOについて一切語っていないが、「まだまだやるべきことはあり、長い期間で熟考すべきことだ」と否定的だ。

 一方の「スタイルドットコム」はコレクション画像をあげるためのストックサイトとしてコンデナストがローンチし、徐々にコレクションレビューやライフスタイル関連の記事をあげるメディアへと変化していった。実はデジタルコンテンツを補完するという名目で紙媒体を発行したこともある。その後、EC化という大変革によって紙媒体は消滅してしまった。ECサイト版「スタイルドットコム」は、サイトでは在庫を持たずに顧客を購入まで誘導し、EC機能はブランド側が対応する仕組みを作る計画だった。

 しかし、業界筋からのビジネス的な評価は必ずしも高くなかった。LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)などのアパレル企業も自社ECとオウンドメディアを強化する中で、特に「ネッタポルテ(Net-A-Porter)」や「マッチスファッションドットコム(MATCHESFASHION.COM)」といっためまぐるしいスピードで進化していく競合ラグジュアリーEC企業には「1億ドル(約110億円)の投資をしても競合には勝てない」とまで言われた。実際ビジネスは計画通りには伸びず、今回の売却という結論にいたった。ジョナサン・ニューハウス(Jonathan Newhouse)=コンデナスト会長兼最高経営責任者(CEO)は、「あらゆる選択肢を熟考した結果。20年前には他にない新たな分野の新たなビジネスだった。しかし、ビジネスの行く末はわれわれが望む形とは程遠いものだった」と振り返る。

 では、ファーフェッチは「スタイルドットコム」をどう活用するのか。ネヴェスCEOは、「コンテンツこそが顧客満足度・購買率を上げるための最善の手段。コンテンツをよりリッチにするために活用したい」と主張する。競合ECとの差別化を図るためにファーフェッチはコンテンツの拡充という選択肢を選んだわけだ。“新しいものを作って売り続ける”というファッション市場の構図が壊れつつある現代において、洋服の売り方・買い方は多様化しつつある。今年、「ファーフェッチ」が「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS )」のアーカイブコレクションを販売したように、ラグジュアリーECにもこの流れは当然ある。多様化にともなって技術面の成長はもはや飽和状態にあるが、ファーフェッチはファッションの原点でもあるもっとエモーショナルな部分に活路を見出そうとしているのかもしれない。“単に購入するためのサイト”ではなく“商品のストーリーを知りたくなるサイト”としてリピーターを増やすことこそが、ファーフェッチが目指すECサイトの次なるステップなのかもしれない。





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