平家伝説の里を民話集に 宮崎・椎葉村調査、21年かけ出版 – 西日本新聞

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 九州山地の中央に位置し、平家落人伝説が残る宮崎県椎葉村で語り継がれてきた民話をまとめた「平家の里 椎葉村の昔語り 上巻 昔ばなしの部」を西南学院大(福岡市早良区)の民俗学研究会が出版した。現地のお年寄りから聞き取った99話を収め、村関係者が監修した21年がかりの労作。編集代表の同大名誉教授山中耕作さん(84)=口承文芸=は「美しい文化の伝承に寄与できたはず」と胸を張る。

 椎葉村は537平方キロメートルに約2700人が暮らす中山間地の村。少子化が進み、親が子へと言い伝える民話の文化は薄らぎつつある。山中さんたちは1996年から99年まで、現地へ8回赴いてお年寄りに話を聞き、補足調査も重ねた。

 聞き取った話は、向上心の養成や渡世術など示唆に富んでいた。山中さんは「子どもたちが、たくましく生き抜くためのおとぎ話」と評価。「語彙(ごい)が豊富で、きびきびした話の運びは練達の極み」と文章の美しさにも魅せられたという。

 方言で苦労もした。源平合戦で敗れた平家一党が逃げ延びたという伝説がある村の言葉は、山中さんによると「京言葉ではないが、近畿辺りで興った言葉が、長い年月を経て、山地に吹き寄せられた塵塚(ちりづか)のように残ったもの」。福岡の学生たちとの作業で、いつの間にか博多弁が交じり、村関係者に間違いを指摘されたこともあったという。

 正確を期して繰り返した調査には38人もの学生が加わった。山中さん自身も心臓手術や足の切断など病と闘いながら編集作業を進め、本には1話ごとに解釈も付けた。「学生が熱意をもって取り組んでくれたのに、私のていたらくで時間がかかりました」と山中さん。下巻に村の伝説をまとめようと再び奮闘している。

 A5判408ページ、3240円(税込み)。

=2018/02/17付 西日本新聞夕刊=





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